読書

藤吉豊、小川真理子著『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP、2021/11)

タイトルのとおり話し方の本を100冊ちょっと*1取り上げて、それらのなかで重複が多い(≒重要性の高い)ノウハウから順番に紹介している。 思っていたよりいい本だった。理由としては100冊に共通するところだけでなく、意見が割れているポイントも紹介されて…

橋元恵一著『アットジャム 日本一のアイドルイベントをゼロから育てた10年間』(ユサブル、2021/3)

みっつの軸がある本。ひとつめはサブタイトルにもあるように、イベント立ち上げからのあゆみ。ふたつめは著者がアイドルに携わる以前の話。学生や社会人としてどんな経験を積んできたか。最後は業界の方との対談が2本。CDと配信のバランスやコロナ禍での課題…

読了

平尾アウリ著『推しが武道館いってくれたら死ぬ 1』(Kindle版、2016/3) 乱暴にまとめると、地下アイドルとそのオタクを描いた漫画。1巻を読んだ限りでは、オタクのほうに比重がある。 感想としては、読むのに根性がいるなあと。応援していて訪れる幸せだけ…

橋本倫史著『水納島再訪』(講談社、2022/2)

沖縄の離島を訪ねて、そこに生きる人の暮らしや島のあゆみを綴っている。 いつもながら橋本さんの本は面白いし、橋本さんらしさのある本だなと思った。 おんなじものを見ても、人によってどこに関心をもつか、どういう物語のなかに位置づけるかは違うわけで…

読了

武田一義著、平塚柾緒原案協力『ペリリュー 楽園のゲルニカ 10』(ヤングアニマルコミックス、2021/8) 戦場での命日は部隊が壊滅した日と推定されていた、だから本当の命日を知りたい家族は多かったという記述が出てくる。 やはり正確な日がわからないと弔…

アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳『スマホ脳』(新潮新書、2020/11)

たしか3月に買ってぱらぱら目は通した。だけど、ちゃんと読んでみたらかなり印象が違ってびっくり。 最初は「スマホに時間をもっていかれないための方策集」だととらえていた。それなら別に珍しい本ではないなあと。 もちろんそれも間違いではないんだけど、…

竹村俊助著『書くのがしんどい』(Kindle版、2020/8)

文章術の本ってほとんど読んだことがない。 それなのになぜ本書を買ったかというと、AKBのメンバーさんが紹介してたから。ふだん興味ないものを手に取るいいきっかけかなと思って。 全体的な感想から書くと、個性ある本でなかなか楽しめた。 世に出ている文…

長井短著『内緒にしといて』(晶文社、2020/10)

「縁むすびカード」という5000円分の商品券が鎌倉市民に配られた。使える場所はざっくり言うと大手スーパー以外。 何を買うか迷ったけど、普段なら手に取らないたぐいの本にしようかなと。 著者の長井短(ながいみじか)さんは1993年生まれで「演劇モデル」…

西川ユカコ著『世界の最新論文と450年企業経営者による実践でついにわかった 最強の睡眠』(SBクリエイティブ、2020/4)

購入のきっかけから書くと、私が睡眠の本を手に取るときはまず著者のプロフィールを見る。それで有益な情報が得られるだろうかと考える。 今でこそ研究者の本が次々に出ているけど、ひとむかしまえはとある作業療法士の本がいくつも並んでいて、作業療法士っ…

読了

武田一義著、平塚柾緒原案協力『ペリリュー 楽園のゲルニカ 10』(ヤングアニマルコミックス、2021/2) いやー面白かった。まだ作品は続くけど後日譚みたいな形らしい。 立場や役職の上下関係が大きい世界はうまく機能すればいい。だけど、みなそろって間違…

読了

芳崎せいむ著『金魚屋古書店17』(IKKI COMIX、2020/7) 5年ぶりの新刊。掲載誌が2014年に休刊となり、単行本を出すには書き足しが必要な状況だった。 2017年末には、著者が「来年には出さないといけませんね」とツイート。 https://twitter.com/yseimu/stat…

ジェイク・ナップ、ジョン・ゼラツキー著、櫻井祐子訳『時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」』(ダイヤモンド社、2019/6)

購入のきっかけは、けんすうさんの帯文。新聞広告とかも含めて、彼が推薦した本はいくつかあるけれど、アイコン(ロケスタくん)が使われてる*1のは初めて見たかもしれない。それでかわいいなーと思って買った。 一読しての感想はすごく面白かったし、生活の…

近藤雄生著『吃音 伝えられないもどかしさ』(新潮社、2019/1)

かつて吃音に苦しんだ著者が、多くの人に話を聞く。悩んでいる当事者や周囲、さらには治療に携わる人たちへ……。 内容としては著者もあとがきで書いているけど、改善を目指す動きに分量が割いてある。つまり与えられたものとして受け入れるのではなく、どうに…

橋本倫史著『市場界隈 那覇市第一牧志公設市場界隈の人々』(本の雑誌社、2019/5)

来月半ばに現在の建物での営業を終える市場。そのお店にたずさわる人たちへ話を聞いた本。取り上げられているのは全30店舗。それに加えて市場組合長の話が巻末に収録されている。 お店の人の来し方や市場のあゆみも興味深く読んだけど、私は話のなかに沖縄の…

『景色のいいドライブ[関西版]』(京阪神エルマガジン社、2019/3)

タイトルどおり、車で行く景色の素晴らしい場所が全20コースで紹介されている。私は関東在住かつ運転もしないので、知っているところがひとつしかなかった。そういう意味では他エリアの読者のほうが新鮮に読める面もあるかもしれない。私も行ってみたいなと…

横山秀夫著『ノースライト』(新潮社、2019/2)

作品を待つ価値がある。金と時間を費やす価値が確実にある。そんな作家だなとあらためて思った。最初に謎が提示され、それが明らかになっていくというのはよくあるミステリー。ところが本作では、謎解きの過程でも次々と疑問点が浮かんでくる。ページを繰る…

橋本倫史著『ドライブイン探訪』(筑摩書房、2019/1)

『月刊ドライブイン』vol.01-12をまとめたもの。奥付に「加筆・再構成をほどこし単行本化」とあるが、私の見る限り内容的な追加はなかった。一番大きな違いとしては、vol.08に登場した「ドライブインもちや」が丸々未収録となっている。ページ数の都合か、は…

明石ガクト著『動画2.0』(幻冬舎、2018/11)

立ち読みですごく面白かったので購入。動画の起こりや映像との違いなどを知って、よのなかの見方を新しくすることができた。これが本屋で「動画」コーナーに追いやられるのはかわいそうだなと。もちろん動画づくりを書いた部分もあるのだが、全体の7-8割はい…

橋本倫史取材・写真・文『cocoon no koe cocoon no oto DOCUMENT of READING LIVE』(HB出版部、2015/7)

先月21日に写真展へ行ったとき購入。6都市をめぐったマームとジプシーの公演に同行した記録。 私は公演を見ていないが、それでも一緒に駆け抜けた気になれて面白かった。舞台の裏側を知ることで、どの公演も一期一会なのがよくわかる。 中身は6都市のうち、…

雨宮処凛著『非正規・単身・アラフォー女性 「失われた世代」の絶望と希望』(光文社新書、2018/5)

著者はまあまあ好きだが、これは買うつもりがなかった。というのは、労働とか格差は彼女のメイン仕事で、同じ題材の本がすでにあるから。特段、目新しいことも書いてないかなと。 それなのになぜ購入したか。あとがきによる。 「なんだかものすごく役に立つ…

佐藤喬著、羽田圭介解説『逃げ 2014年全日本選手権ロードレース』(小学館文庫、2018/7)

自転車競技を題材にしたノンフィクション。 5時間以上に及ぶレースの最中、選手・チームがどういう思惑で戦っていたのかを丹念につづる。と同時に、競技がいかなるものであるかも伝えている。 すごく面白い本だった。単に走ってるだけの力比べではまったくな…

橋本倫史著『まえのひを再訪する』(HB編集部、2016/7)

21日に写真展へ行ったとき購入。『まえのひ』というお芝居があって、その上演で巡った場所を再訪するドキュメント。 『まえのひ』を鑑賞していなくても読めるかは気になるところ。 結論からいうと、95%は未見でも問題ない感じ。冒頭で「マームとジプシーとい…

福満しげゆき著『僕の小規模なコラム集』(イースト・プレス、2013/6)

書下ろしコラム15本プラスあとがき。4章立てになっていて、話題はエロ、学校、社会、漫画。 分量は1本10ページ弱。それぞれにイラストが1ページつく。 普段、彼の漫画で展開されている考えがここにもあるというか……。驚くような意見は出てこない。 興味深い…

『Cocco Forget it, let it go SWITCH SPECIAL ISSUE』(スイッチ・パブリッシング、2001/4)

ムックの中心は、ライター堀香織がCoccoと共に旅してつづった文章。 全6回中5回分は、これ以前の『SWITCH』にも収録。本書で初出なのは、冒頭の「沖縄2001」のみ。 購入したのは、『月刊ドライブイン』(vol.04)に「沖縄2001」が引用されていたのがきっかけ…

宮崎祐治著『鎌倉映画地図』(川喜多・KBSグループ発行、2017/4)

表紙を含めて36ページの冊子。鎌倉および周辺を7ブロックに分け、映画に使われたスポットを紹介している。 ちょっとだけ鎌倉という映画も抑えられていて、さくいんを見ると言及があるのは90作品以上。資料集としても使えるだろうし、ユーモラスなイラストが…

沢木耕太郎著、梯久美子解説『流星ひとつ』(新潮文庫、2016/8)

1979年の藤圭子へのインタビュー。ふたりの言葉のみで構成されている。 親本の刊行時は興奮をおぼえた。ついに出るんだなあと。 原稿の存在は、『噂の眞相』1999年11月号で明らかになっている。そこで沢木は世に出さなかった理由を語るとともに、藤との男女…

原武史著、速水健朗解説『レッドアローとスターハウス もうひとつの戦後思想史』(新潮文庫、2015/4)

連載時も何回か読んで、興味を持っていた本。内容としては、政治思想ならぬ西武思想や団地、皇室のまじわりを書いている。 たとえば中央線であれば、いくらでも言及する人・した本があると思うが、西武は少ない。その意味で、原は私にとってありがたい存在だ…

「週刊新潮」編集部編『黒い報告書 インフェルノ』(新潮文庫、2016/2)

「近年の『黒い報告書』の中から、特に官能的で優れた作品を集めたアンソロジー」(まえがきより)。全17編収録で、初出は『週刊新潮』2014年1/16号から2015年8/6号。 モデルになった事件はリベンジポルノ、声優アイコ、教え子への嘱託殺人といったところ。…

柳美里著、野村進解説『ファミリー・シークレット』(講談社文庫、2013/3)

ずっと読みたかった本。息子への虐待を通報された著者。いったいなぜ行為に至ってしまうのか。理由を探っていくノンフィクション。その過程で父や母についても浮き彫りになる。 彼女のブログは鎌倉ネタ目当てでチェックしていた。騒動もリアルタイムで目撃し…

秋本治原作、秋田禎信・朝井リョウ・石原宙・岡田邦彦・初野春・東川篤哉小説『VS.こち亀 こちら葛飾区亀有公園前派出所ノベライズアンソロジー』(集英社、2016/9)

小説とこち亀のコラボレーション全6編。分量は最初のおそ松さんだけ約80ページで、あとは50ページほど。 元作品はどれも読んでないし見ていないが、総じて楽しむことができた。5段階評価をするならこんな感じ。 「おそ松さん」:3.5 「魔術士オーフェン」:1…