橋本倫史著『まえのひを再訪する』(HB編集部、2016/7)

21日に写真展へ行ったとき購入。『まえのひ』というお芝居があって、その上演で巡った場所を再訪するドキュメント。
『まえのひ』を鑑賞していなくても読めるかは気になるところ。
結論からいうと、95%は未見でも問題ない感じ。冒頭で「マームとジプシーという演劇カンパニー」(赤字引用者)と説明しているぐらいなので、観た人だけを相手にしている本ではない。
私からみて本書の読みどころはみっつあって、ひとつは普通に旅そのもの。全13章(箇所)。都内も含まれているが、これだけ出かけていればいろんなことが起こる。
ふたつめは、旅のやり方というのかな。おおもとの上演時は同行するだけでそこに大きな意思はないと思うが、再訪にはそれがある。いったい何を見ることを選ぶのか。そしてどう見るのか。旅での着眼点を教えてもらえた気がする。
みっつめは、各所を巡るなかで作品について考える部分。同じ舞台をやっていても、土地や時間で受け取られ方は変わってくる。そのことがしっかり伝わってきて、意味ある一冊になってるなと思った。