『Cocco Forget it, let it go SWITCH SPECIAL ISSUE』(スイッチ・パブリッシング、2001/4)

ムックの中心は、ライター堀香織がCoccoと共に旅してつづった文章。
全6回中5回分は、これ以前の『SWITCH』にも収録。本書で初出なのは、冒頭の「沖縄2001」のみ。
購入したのは、『月刊ドライブイン』(vol.04)に「沖縄2001」が引用されていたのがきっかけ。そこに少しひっかかりを感じたのだ。
まずは見てもらいたい。CoccoA&W(ファストフード)での定番を語っている部分である。

夏だったらハムチーズサンドとスーパーフライとスラッシュだばーてー。スラッシュって氷の砕けたやつ。冬だったらハムチーズとスーパーフライとチキンライスだばーよ。

夏はスラッシュだったところが、冬はチキンライスへ。飲み物が消え、主食っぽいのが増えた。
そんなにガバガバ食うだろうか。疑問を抱き、原文にあたる。正しくは「チキンライススープ」であった……。
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残りも非常に面白く読む。
全体として、沖縄を訪れた2回では土地が抱える問題について、それ以外の場所では自身の活動やあり方を語っている印象を受けた。
私のなかでCoccoとは、興味がないわけではないがサビのわかるのが2-3曲程度。本書の翌年に絵本を出して話題になったのだが、それを持ってるのが数少ない接点だった。
本書からうかがえるCoccoは、尾崎豊と重なった。なんというか、自分のなかで物事が破綻しないように、思い悩む姿が……。
悩む人の話は、消費する側からすると同じ内容が繰り返されて退屈なこともあるが、彼女は違う。具体的なエピソードがあって、それぞれ自分の考えがあり、さすが表現者だと感心する。彼女の言葉をすくいとった堀もまた立派な表現者だ。