長井短著『内緒にしといて』(晶文社、2020/10)

「縁むすびカード」という5000円分の商品券が鎌倉市民に配られた。使える場所はざっくり言うと大手スーパー以外。

何を買うか迷ったけど、普段なら手に取らないたぐいの本にしようかなと。

著者の長井短(ながいみじか)さんは1993年生まれで「演劇モデル」という肩書を掲げている。昨年、峯岸みなみさんのラジオ番組にゲスト出演されていて、私はそこで知った。

本書は女性向け恋愛サイトでの連載がもとになっていて、内容的には日常の出来事を綴りながら生き方やモテに考えをめぐらすといった感じ。

ひとことで感想を言うと、いい本が読めた。特に生理の話は女性向けならではだなと。著者は友達と生理について話すそうで、なぜかというと弱みを見せて人と仲良くなりたい意思表示をしているそう。

これ、男だとしたら何になるんだろうな。朝井リョウさんがおなか弱い話をよくしているのが思い浮かんだけれど……。

もうひとつめちゃめちゃ面白かったのが、ワンチャンでなされるセックスを麻雀にたとえているところ。そんなのは「リーチのみみたいな全然役のついてない上がり手」だと著者はけなす。そうではなくてスーパー雀士を目指せと。

素敵な言い回しや大局的な考え方に触れられて、生きるのが楽になる。そんな本だった。