上野裕和著『将棋・序盤完全ガイド 相居飛車編』(Kindle版、2013/3)

取り上げられているのは、矢倉・角換わり・一手損角換わり・相掛かり・横歩取り
前著同様、読みごたえのある1冊だった。ただ不満もあって、それは「初手から3手目までの戦型決定フローチャート」(p.32-33)。何が不満かというと、お互い居飛車党であることが前提だから。
もちろん「相居飛車編」なのでおかしくはないのだが、そういう前提がありながらの図は頭がこんがらがる。
たとえばの話、チャートには「初手▲2六歩→△8四歩・・・相掛かり」とある。しかし、相手が居飛車と判明したので3手目は▲7六歩にする人もいるだろう。そういうところで簡潔化のためのチャートが逆に悩みのタネになってしまった。
以下、細々と感想を。
・故村山聖に救われた話(p.96)が感動的。
・角換わりからの端棒銀に対し△1六歩という逆襲がある(p.146)のは、知ってはいたが身についていなかった。機会があったら指してみよう。
佐藤紳哉との研究会で、▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩から▲2四歩を指され、しかも負けた(p.197)というのは興味深い。その後の展開が知りたいものだ。
・電子版でありながら、奥付には「2013年6月11日初版第3刷発行」と記載されている。
【筆者の現在の棋力】将棋倶楽部24:13級(最高R348、現R347)、将棋ウォーズ:【10分】1級【3分】1級