鈴木英春著『必殺!19手定跡 英春流戦法居飛車編』(三一書房、1990/4)

英春は「ひではる」ではなく「えいしゅん」。
購入のきっかけを書くと、得意戦法が四間飛車の相手には、右四間飛車で戦っている。先手番なら▲7六歩△3四歩▲4八銀のスタート。ここで相手が角道を止めれば、よくある形に進行する。
しかし、相手が△8四歩と飛車先を伸ばしてきたら予定が崩れる。棋書ミシュランというサイト*1を見ると、そのときの対策には「鈴木英春氏の著作を読むべし」とあった。よって本書を手に取った次第。
全体的な感想を書くと、なかなか難しいなあと。ワナにかかってくれたら必勝、そうでなくても互角なのがこの戦法の特徴。
ただし必勝で一気に終盤になっても、正確な寄せと速度計算が求められる。そしてまた、互角のほうの進行は見事に力戦形。いい手を積み重ねる力がなければ苦しいと感じた。
よくある定跡書と異なり、戦法のイロハはごくごくわずか。ネットで調べて事足りるぐらい。本書の大半を占めるのは実戦譜。トータルで29局を並べ、著者の思い出話にも触れながら勘所をつかむ本である。
ハードなその作業をこなして思ったのは、位取りの基本に忠実な指しまわしだなということ。私にはフィットしない感じだが、「1994年2月28日第4刷発行」と増刷を重ねたのは支持されたからだろうか。

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ネットで古本を購入。書き込みがいくつかあった。その内容は誤植の訂正や、投了図以下の手順で非常に助かる。しかし、なかにはその手順が間違ったものもあり、書き込みの面白さを感じている。
(誤植)p.62:「△7四歩と突き出されて」とあるが、先手の指し手なので「▲」が正しい。
【現在の棋力】将棋倶楽部24:13級(最高R379、現R335)、将棋ウォーズ:【10分】1級【3分】1級

*1:『三浦流右四間の極意』のレビュー。