小説すばる』3月号

ラブレター・イン・ブルー第4章「シシリエンヌ」掲載。本文によると、これも(第1章の「パヴァーヌと同じく)フォーレの曲名だそうだ。私は音楽にはまったく疎いので、よくわかんないけど。重松さんは詳しいのかな。『小説新潮』でも音楽のリズムの話を用いつつ、話を作ってるけど。
ストーリーのほうは、特に大きな展開なし。まだまだ先は長そう。

小説現代』3月号

直木賞作家の官能小説3本立て」という特集の1本目「とんがらし」を書いている。4月号で「どんまい」が完結するということなので、まさか3月号に書くとは思わなかった。官能小説特集なんて、そんなに頻繁にあるわけじゃないから、1回きりの執筆になるのかな。
主人公のヒロシと、藤木くん、大西くんの3人は小学校5年生。あるとき見つけた秘密の小屋で、エロいものの見せ合いっこをするというお話。さわやかな官能とでもいうのだろうか、内容的には『かっぽん屋』(角川文庫)の前半に収録された作品群につらなる。
ちなみに他の2つは、梟森南溟(ふくもりなんめい)と阿部牧郎が書いている。前者はペンネームで、匿名女性直木賞作家だという。それだけの情報で私は篠田さんかなと思ったけど、女性の直木賞作家って、リストを見てみたらけっこういるんだな。桐野さんも書いてそうな気がする。まあ、それぞれの作家のファンの人が本文読んだら、すぐわかるんだろうけど。
http://www.bunshun.co.jp/award/naoki/list1.htm
匿名というと『野性時代』にもサタミシュウという人のSM小説が掲載された(1月号から3月号)。
「本名でベストセラーを連発」と下記のサイトの説明にあるけど、日本において「ベストセラーを連発」なんて言葉を使うことが許されるのは、宮部さんぐらいなもんじゃないか。
http://www.lovesmallworld.com/

小説新潮』3月号

「誌上初!チャット対談 電車男重松清と語る」と題した特集が、巻末から全8ページにわたり掲載されている。最初のページがイントロダクション、最後のページの半分が本の宣伝なので、ログの部分は実質6ページ半。
あいさつに始まり、エルメスとすごしたクリスマスについて話す冒頭の1ページ半は、両者の反応みたいなものがうかがえて、それなりに楽しく読める。
そこから先は、普段の電車男の性格、漫画化された3作の印象、エルメスとの今後(結婚?)についての話題になるんだけど、なぜか1問1答のQandAような形式で、淡々としたものになっている。これなら、わざわざチャットにする意味がないと思った。もしまたの機会があるなら、30ページぐらいのスペースを用意して、くだらないことも交えつつ、ぐだぐだと話した様子を収録したほうがいいんじゃないかな。今月の『小説新潮』、垣根さんの200枚一挙掲載などがあったためか、3段組のところが多く、心なしか文字も小さかったような。
きみの友だち第6話「アンダンテ」掲載。2004年9月号掲載の第2話「ねじれの位置」、1月号(今年)掲載の第4話「ぐりこ」に引き続き、和泉文彦(ブン)と中西基哉(モト)の2人が登場。
今回の主人公は佐藤。中学卒業を控えた3年生で、すでに所属していたサッカー部からは引退したが、補欠だった現役時代のうっぷんを晴らすためか、後輩の指導と称して部の練習に顔を出しては、後輩にきつくあたってしまう(そのサッカー部で中心となっている2年生がブンとモト)。そんな彼がバレンタインデーを前に、ひそかに思いを寄せている梅村琴乃(コトちん)からチョコをもらえるだろうか、というドキドキを描いたのが今回の「アンダンテ」。
女の子には永久にわからないだろうな。バレンタインがせまるにつれて、そわそわしていく男の子と気持ち。あえていえば、次のような状況がそれに似ているかもしれない。友だちから「ヨウスケくんがあんたのこと好きらしいよ」とある女の子が人伝えに聞いて、本当なのかな、だとしたら告白してくるのかな、なんて感じですごしているときの心境。よくわからない?いいよ、女性はわからなくても。そしたら、この小説は男性読者だけに向けられて書かれたってことで。
ぐず(話の中でだけ)と、あとブンのおねえさんも再登場する。そしてこのおねえちゃんがすばらしい名言を生み出す。これから先は、若干ネタバレになってしまうので、単行本になったときに、もしこのblogのことを覚えていてくれたなら、ああ、やっぱりあのセリフを引用したんだな、ということを確認してもらえると、うれしい。
くどいようだけど、ネタバレ注意、ネタバレ注意、ネタバレ注意。
「バレンタインのチョコは、モテない子がくれたほうが美味しいんだよ。勇気、こもってるから」