原武史著、宮部みゆき解説『「鉄学」概論 車窓から眺める日本近現代史』(新潮文庫、2011/1)

親本はNHKのテキスト。そっちが出たときは、読む時間がなくてパスした記憶がある。番組のほうは1回だけ見たのかな。
本書は全8章立て。そのなかで、他の著作と重なってないように見えるのが1-2章と7-8章。前者では鉄道と作家の結びつきが、後者では鉄道をめぐる動乱の様子が描かれる。
後者を読むと、昭和が遠い昔になりつつあることを痛感させられた。前者は著者のやや強引なこじつけと思える部分もある。個人的な解釈は、そういう見方もできるという程度にとどめておかないとうさんくさくなる。
あと印象に残ったのが、堤康次郎の発言を引いた箇所(p.152)。少なくとも本人の述べるところでは、単に国分寺と立川の中間だから国立というだけが命名の由来ではなかったわけだ。

      • -

本書とは関係ないが、面白いページを見つけた。原さんが塾高から早稲田にいった理由、そこから大学院へと至る道すじが書かれている。
http://www.ut-life.net/people/t.hara/