サイン会

『何も持たず存在するということ』(幻戯書房)の刊行記念。三省堂神保町本店にて。
書店に着きくだんの本を探してみると、残り1冊だった。まあ、会場のほうにはたくさんディスプレイされてるんだろうけど。
それで、その1冊だが、一番下に置かれていたものなので、帯がぼろぼろ。しかも初版ではなく3刷。がっくりなのだが、よくない状態の本にサインをもらうのも、ひとつの記念かと思いなおす。
1時間ほど並ぶ。順番が近づいて、店員に声をかけられた。
「帯が曲がっているので、こちらの(会場にある)ものと交換してもよろしいでしょうか」
「そうしてもらえるとありがたいです」
というわけで、めでたしめでたし。そうしてくれたらなあとは思っていたのだが、自分からいいだすのはずうずうしいので。

長嶋有解説『みどりの月』(集英社文庫、2003/5)

中編2本。表題作で描かれるのは、何者でもない人間による、何ごとも起こらない日常。角田さんがこういった話を多く書くのは、何もないようでも、人間の数だけ生活はある、ということをいいたいがためかもしれない。
もう1編、「かかとのしたの空」では、若者たちが海外をさまよう。彼らは日々を生きるなかで、将来のことも少し思う。たくさんの現在と少しの今後。このバランスが、角田さんのうまいところ。
2007年6月6日第8刷。