単なる雑記

藤原和博に聞いてみたい。「夜スペ」として塾講師に頼る以前に、普段の授業を能力別にしようと考えなかったのか。いまあがっているような批判は、能力別授業の実施によって、たいがい解消されると思うのだが。
・金がかかる→学校の授業なので無料になる
・格差を生む→無料なので条件は同じ
・学校という場所を塾に貸すな→塾が介入しないので問題なくなる
・下位には補習をしてきたが、上位には何もできなかった→学校の授業でやれるようになる

      • -

しかし、能力別授業を導入したらしたで、また新たな問題が生じてくる。以下ではそのことを考えてみたいのだが、そのまえに私の想定する能力別授業がどのようなものかについて記しておく。
学年が仮に4クラスあったとする。これを教科ごとの成績で区切って、たとえば4つの集団に分ける。分けたその集団で授業を受ける。英語は英語の集団、数学は数学の集団。ほかの教科でやってもいいが、英数ほどは実力差がつきにくい、すなわち能力別に授業を受けるメリットがあまりないかもしれない。以下、能力別について予想される批判。

      • -

・学校教員には上位生徒への対応ができない
つまり、塾講師だったら教科研究にたっぷり時間を使えるが、学校の先生はそうはいかない。行事や担任としての仕事もある。だから、基礎的なことは教えられても難関校を受ける生徒のフォローは無理だ、という批判。
これについては、まずやってみろといいたい。いままではただ教科書を教えていればよかった。だから、研究に取り組もうという意識もなかったのではないか。しかし、いまや学校は選ばれる時代だ。判断材料は多々あるだろうが、「難関校を受けたかったら塾にいけ」という学校と、「授業で受験もばっちり」というところだったら、どちらを選ぶだろうか。もちろん後者だ。
・落ちこぼれを生む、差別である
こういう批判は、能力別というシステムじゃなくてむしろそう感じさせてしまう教員側に問題がある。工夫次第ではないかと思う。たとえばクラスの名称。S、A、Bといった露骨に上下を感じさせる名前にせず、応用演習、実力養成、基礎徹底などとする。あとは、教員配置にもし余裕があれば、下位のクラスに対してはチームティーチング(複数教員による授業)をおこなうなども考えられる(ただ、和田中の教員数を見ると難しいようだ)。
・成績評価が難しくなる
普通だったら、1学年が同じ問題で試験をやる。そして、その点数をもとにして成績をつける。しかし、能力別授業をやると、扱っているレベルに違いがあるから、同一問題による試験での成績評価がしにくくなるのでは、という批判。
否定はしない。だが、しづらいとはいえ、できないことはないのである。
・教員が足りない
和田中のサイトを見ると、現在のクラス数は1年生と2年生が4クラス、3年生は3クラスとなっている。
4クラスある学年であれば、能力別にするとき、3集団、あるいはそれ以下にするのは無理だろう。生徒が教室に入りきれなくなる。やはり4集団は必要。となれば、教員も4人。しかし、和田中のサイトによれば英数はそれぞれ学年1人。学校全体で3人だけである。
でもそれがすなわち無理だということにはならない。集団1と集団2が英語を受けている時間、集団3、集団4を(能力別ではないが)他教科に回すといった方法もある(当然、集団3と4が英語のときは集団1、2が他教科になる)。

      • -

和田中は安易な方法に飛びついてしまったと思う。逆にいえば、ほかの学校はこういうセールスができはしないだろうか。
「よそではお金を取っている学校もあるようですが、うちではできる生徒もできない生徒も無料でしっかりと学力が身に付くようになっております」