サタミシュウ著『スモールワールド』(角川書店)
私はアダルトビデオというものを見たことがない人間なので、はっきりしたことはわからないけど、ああいうのって、セックスシーンに入るまで、どうでもいいストーリーがあると聞く。そしてそこは早送りされると。
この本は、そういう早送りされるようなシーンが、ほとんどない。だから、読みながら終始、冷静さを欠いてしまった。たまにはこういう本もいい。
なぜ本名で発表しないのか。『愛妻日記』『なぎさの媚薬 敦夫の青春研介の青春』を出して、読者がそっち系の話についてこれないということがわかったから、もう重松清として発表するのをやめたってことなのかもな、と思う。
スモールワールドのウェブサイト上で、本文の朗読が聞けるのは、なかなか楽しかった。もうちょっと読み方工夫してくれると、なおよかったけど。
以下、本文との対照箇所のメモ書き。
Voice Part1:p.158,l10-p.159,l14(最後の「速める」が、サイト上の朗読文では「早める」と誤植されている)
Voice Part2:p.159,l15-p.161,l5
Voice Part3:p.161,l6-p.162,l6
Voice Part4:p.162,l7-p.163,l14
『うちのパパが言うことには』(毎日新聞社)
後記によると、2001年夏から2004年暮れにかけて書いてきた短文の中から、選んでまとめたものということだ。
カバーの素敵なイラストはなかだえりさん。この名前、最近どっかでみたなと思っていたら、『東京人』5月号で早稲田のイラストマップを描いていたのが彼女だった。近々、水彩画展があるようなので、時間があったらぜひいってみたい。
http://www.nakadaeri.com/
『セカンド・ライン』はかっこいい本だったけど、それと対をなすようなかわいいデザイン。
以下、初出誌の個人的メモ。読んだことがある文章なのに、どれに出てたんだっけ、というものが多数ある。ひょっとすると、読んだことがあるというのは、そう思い込んでるだけで、実は重松さんの口から同じような話を聞いたために勘違いしてるのかもしれない。
- <一九七〇年代型少女に捧ぐ>
- 不惑、わくわく:『40's!』創刊記念号
- ぼくたちはアトムに会えなかった
- これでいいのだ:『文藝春秋』2003年4月号
- 心の屈伸運動
- おとな買いの敗北宣言
- 思い出は「だいたい」でいい
- 「戦後」は終わった?
- 万国旗の時代
- 老いを実感する
- 奨学金
- おとなの世界のユーミン
- 放課後のフォークギター
- マヨネーズの小皿
- 家庭科をおじさんに!
- ぼくたちのメメント・モリ
- <がんばれ、ジャイアン>:『ぼく、ドラえもん。』08(2004年6/20号)
- 命の重さ:『寺門興隆』2004年9月号
- 生と死の「のりしろ」:『更生保護』2002年4月号
- 母への電話
- 上京
- 古稀の山男たち:『1冊の本』2002年1月号
- おふくろの味
- まるい街
- 佐世保を歩く:『AERA』2004年7/19号
- 父よ――二〇〇三年・夏:『文藝春秋』2003年9月号*1
- タリバン桜:『現代』2002年5月号
- ハルウララは幸福な例外:『論座』2004年6月号
- <「ペンギン」に、やっと会えた>
- 豊穣な「負け」
- みんな、初めて
- 足の小指:毎日新聞2003年10月1日付朝刊
- アジサイになれ
- 神の視点には立てないから
- ちびっこが欲しかったもの
- どうやらオトナの世界はガキでもやっていけるらしい
- 命は弱い
- 伝えたかった言葉
- おいしい空気
- スケジュールの行間
- かってのぼくとよく似たきみたちへ:不明
- 家族は家・族
- 寄り道のすすめ
- 「ただいま!」の幸せ
- <わかりあえないから、人生は楽しい>:「NHK福祉ネットワークひきこもり情報」ウェブサイト内コラム・ザ・コラム「『純度』100パーセントを求めるひとへ」(前後編)。
- 運動会によせて
- 期待よりも
- 教育をめぐる二、三の事柄:『ちくま』2002年5月号(文末を一部カット)
- 急行列車のなくなった時代
- エスカレーター
- 先生とウイスキー
- 年賀状
- 休日の行きつけの場所
- 日常
- パプア・ニューギニアの少女
- 「異物」を愛して
- はてしない「思いどおり」のレース
- 後ろ向き
- <『成りあがり』を愛した少年のお話>:矢沢永吉ウェブサイト「YAZAWA NOW」内COLUMNこそあどVo.13、17に加筆。
世界一受けたい授業(NTV)
きょう19:57から20:54にわたって放映された。ゲストの先生3人のうち、最初が重松清。
早稲田の教育学部を出て、教員免許を持っているということもあり、授業にきてくれと多くの学校からひっぱりだこ、みたいな紹介がされた後、本人登場。
視点を変えて、ひとつの視点に固まるべきじゃない、ということを説く。また「桃太郎のアナザーストーリーを今度、本にする」という、とてもとても興味深い情報が。
来週の放映前までは、番組の詳しい内容を下記URLで見ることができる。
http://www.ntv.co.jp/sekaju/
あと、この番組の様子は本にもなっているようなので、そのうち今日の放送もまとめられるのかもしれない。
空より高く(読売新聞夕刊)
ムクちゃんとお手玉の練習に取り組むネタロー。
4/25:ひとはみな一人では……15
4/26:青春サバイバル1
4/27:青春サバイバル2
4/28:青春サバイバル3
4/29は祝日なので、夕刊お休み。
*1:初出時のタイトルは「父よ! 12歳の子をもって」。