重松清著『また次の春へ』(Kindle版、2014/3)

3月に文庫になるらしく、あわてて読んだ。単行本価格で買って、読むのが文庫より後では損した感があるので……。
全7編の短編集。独立した話だが、どれも東日本大震災が関係する。分量は最後の表題作だけ50ページ程度で長め、あとは30ページぐらい。
印象に残ったのは「おまじない」と表題作。前者にかんしては初出時にも読んでいて、今回もやっぱりできすぎなおはなしだなと思った。
表題作「また次の春へ」は、震災の半年後に、亡くなった両親宛の手紙が届く。ふたりは生前、メモリアル・ベンチのオーナーになっていた。それを知った息子がベンチのある北海道の町を訪ねる。
死後に届くたよりということでいえば、私も似たような経験がある。2012年夏、父方の祖父が亡くなった。しばしのち、彼の名で荷物が届いた。なにかとみれば、お中元のジュース。亡くなる前日におでかけしたと聞いたので、自分で手配してくれたんだろうなあ。思わぬプレゼントだった。

中尾明慶

自身のデビュー作『陽性』が重松清の隣に置かれていたと、インスタグラムに投稿している。
https://www.instagram.com/p/BA1Thozq_aY/
ネットニュースにもなっている。
http://www.crank-in.net/entertainment/news/41025