先崎学著『先ちゃんの将棋ABC』(毎日コミュニケーションズ、1996/1)

棋書ミシュランというサイトの掲示板で薦められてたので、読んでみた。16年前の本で、それなりに入手難。アマゾンではマーケットプレイスも含めて在庫がなく、「日本の古本屋」で検索しても見つからなかった。

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対象レベルは、駒の動かし方を知ってる以上の初心者なら幅広くといったところ。
まえがきには「定跡書を読んだら弱くなった」人へむけて、「本書は(中略)定跡を学ぶために覚えなければならない"基本動作=ABC"です」と書かれている。
具体的には、金で角頭を守るとか、角で飛車先の歩交換を防ぐとか、そのへんのレベルから。

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章立ては、「駒の価値」に始まって「序盤の原則」「序盤の構想」「中盤の原則」「中盤の構想」「定跡書に学ぶ」という構成になっている。「原則」で学んだことを、次の一手形式の「構想」で確認し、深めていくスタイル。
本書で強調されているのが、中盤における位取り。私は言葉だけ知っていたものの、意識することはなかった。
だから位取りの意味や、単に歩を配置するだけではダメなこと、並びで取る優位性、端歩で玉頭の位を取らせないこと等々、勉強になった。
最終章「定跡書に学ぶ」は、タイトルからはわかりづらいが、駒落ち将棋の解説。なぜ突然駒落ちなのかというと、定跡丸暗記じゃなくて、手の意味を考える重要性を伝えたいらしい。駒落ちを指す機会はないが、そういうものなのかと楽しんで読んだ。
全体としては、読みやすくて位取りの記述などためになったのだが、劇的にいい本というわけでもないかな。