湯浅誠著『貧困襲来』(山吹書店、2007/7)

同著者の『反貧困』(岩波新書)が「論」なら、こちらは「具体例」。合わせて読む*1意味は十分にある。
本書でとりわけ面白いなと思ったのが、生活保護がはねられるロジック(p.103-)。申請にいくと、何かしら理由をつけて追い返される。いったいなぜなのか。福祉事務所の相談員としたら、生活保護を出しても、別に自分が損をするわけではないのに。
そんな疑問に対し著者は、ちゃんと対応しても報われない、まったく違う部署からくることもあり困難に不慣れ、職員不足・事務量の増大などを原因としてあげている。
なるほどねえ。同じような状況は、ほかにもありそうだ。
2008年8月1日初版第4刷発行。

宮台真司著『14歳からの社会学 これからの社会を生きる君に』(世界文化社、2008/11)

藤原和博との共著では若者向けのものを書いているが、単著としてはこれが初ということになろうか。私は高校生のころ、それらの本*2を読んでいる。だから、この『14歳からの社会学』を懐かしい気持ちで読んだ。宮台真司というのは、そういえば、こういうことを主張する人だったんだなあ、と。

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誤植っぽいものがひとつ。
「学校には予備校や塾もふくまれる。学校は高偏差値の大学に入れるあげるといってお金を取ってもうけている」(p.115)
「入れてあげる」の間違いだろうか。「入れる・あげる」だと意味が通らないもんな。

*1:どちらか1冊というならば、こちらをおすすめしておく。

*2:『人生の教科書 よのなか』『人生の教科書 ルール』。