嘉門達夫著『た・か・く・ら』(扶桑社、2007/11)

著者が亡き友高倉に捧げる私小説
冒頭、著者は高倉から電話を受ける。それは、肺がんで余命3ヶ月だという告白だった。少年時代からのつきあいだった高倉。そんな彼と過ごしたこれまで、そして告白以後…。
何の文句もない快作。思うに、これだけのシチュエーションがあれば、いくらでも泣ける小説にできただろう。しかし、嘉門達夫は易きに流れない。とにかく明るいトーンで物語を綴ることで、著者はオモロいことが大好きだった高倉の気持ちに応えたんだと思う。でもやっぱり最後には泣かされる。
帯推薦文は重松清
「作家・嘉門達夫、おそるべし! オモロくてせつない友情物語に笑って、泣いて…負けました。」

週刊ポスト』12/14号

一色伸幸著『うつから帰って参りました』(アスコム)の書評を書いている。この本は、どこかで取り上げると思っていたけど、やはりという感じ。