喜多條忠著『女房逃ゲレバ猫マデモ』(幻戯書房、2008/10)
「神田川」の作詞家による初の小説。主人公は女房に家を出ていかれた作詞家。物語中ではふたつの時間が並行していて、一方では、現在の家庭におけるエピソードが描かれる。たとえば、奥さんがいなくなったことで、子ども2人の弁当を作らねばならなくったり、など。
他方は、主人公の生い立ちから学生時代、そして中退後に至るまでの過去の話。全体としては、合わさって主人公の生き様が理解できるという構成。
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私小説風に読めるところがこの本の特徴で、安兵衛湯からの帰り道、寒さで髪が固まるなんていうシーンもある。著者と時代は異なれど、早稲田に通っていた人間としては、たいへん面白く読ませてもらった。
下は愛猫について語る著者。
http://www.chunichi.co.jp/article/living/pet/CK2008102702000202.html