『酔って言いたい夜もある』(太田出版

「文芸誌でおこなうような、小説とは、というような話ではなく、女性誌でおこなうような、恋愛とは、というような話でもない、もっともっとごく普通の話を、思う存分してみたかった」(p.7)角田光代の初対談集。
お相手は、魚喃キリコ栗田有起石田千(と、その場に居合わせた岡崎武志が、ちょっとだけ割り込んでいる)、長島有里枝という4人。
魚喃キリコ。名前は読めるけど、何をしている人なのかは知らなかった。
栗田有起。作品のタイトルはいくつかあげられるけど、いずれも未読。
最後のふたりについては、名前さえ初耳。
そんな私でもこの対談集、とても楽しめた。なぜか。話しているのが、どうでもいいことばっかりだから。そのなかから何かを読み取ろうとする必要などなく、ただ話の流れに身を委ねてしまえばいい。
欲をいうと、こういう対談集は、本ではなく、ムックのほうが、読みやすくてよかったなと思う。太田出版のこの版型の本は、手に持っていて疲れる。

吉祥寺でトークショーとサイン会があって、その当時……今も好きですけど当事はもっと好きで、整理券もらって質問考えて出向いたんです。(p.166)

原文ままなんだけど、「当時」「当事」は、使い分けてるのか、単なる誤植なのか。

論座』8月号

「本棚拝見」34回が角田さん。自分の著作が、ほかの作家の作品に混じって、ばらばらに納められているのが印象的。
左:『そういうふうにできている』
中:『空中庭園
右:『新しい観光振興』
別の段では、
左:『トゥルー・ストーリーズ』
中:『トリップ』
右:『光ってみえるもの、あれは』
ってな具合に。