吉永拓哉著、西川美和解説『少年院で、大志を抱け』(幻冬舎アウトロー文庫、2014/12)

幻冬舎の文庫は好き。理由は本書もそうだが、解説によって作品価値が増している度合いが大きいから。
本書はタイトルでわかるとおり少年院の体験記。より細かくいえばヤンキー入門から少年院を経て、南米生活にいたるまでが書かれている。
つゆ知らぬ世界に興味があったし、著者によるイラストはポップだし、博多弁の文章もイキイキとしている。必然のようにイッキ読みだった。
少年院は刑務所とは違う。罪の償いではなく教育を目的としている。だからとてつもなくキツイ。本書はそのキツさにともに立ち向かうかのような体験を届けてくれる。仮退院して口にしたキヨスクのコーラ、うまさが伝わってきた。
そして西川の解説がまたいい。彼女はかつて本書を紹介したことがあり、著者から礼状が送られてきたそうだ。たぶんその縁で書いている。
西川は院内のキツイ仕打ちに疑問を呈す。「そういう教育が「教育」としてまかり通る世界には、どうか子供たちに踏み入ってもらいたくないとつくづく思う。――という感想を持つことが、正解ということで良いんだろうか。法務省の狙いとしては」
戸惑うのである。この戸惑いこそが、少年院教育への感想としてふさわしいなあと私はいたく共感した。

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親本は2008年、二見書房刊『ぶっちぎり少年院白書』