加油(ジャアヨウ)……! 五輪の街から』(朝日新書、2008/10)

五輪開催中の北京を旅した記録。朝日新聞や『週刊朝日』に掲載されたものがベースになっている。
観戦記とは違う。もちろん競技も見てはいるが、それ以上に五輪の周辺にいる人へとスポットを当てているのが本書の特徴。

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この本を私は、重松清がライターとして書いた1冊だなと思った。というのは、取り上げられているエピソードのなかには、ネタとして弱いんじゃないかと思うものがいくつもあるからだ。これが作家だったら、もっと大きな題材を探し求めているだろう。しかし、ライターは違う。弱いネタでもきちんと物語に仕立てなければいけないのだ。そういう文章芸が、随所に感じられた。

10月31日付朝日新聞夕刊

映画『その日のまえに大林宣彦監督インタビュー「70歳の『新人宣言』」が掲載されている。原作者は当初、大林さんによる映画化をためらったそうだ。

阿川佐和子ほか著『あなたに、大切な香りの記憶はありますか?』(文藝春秋、2008/10)

ドリップオンスペシャルサイト「書茶」にて公開された作品をまとめた1冊。重松清に関しては、以前掲載された「深呼吸」*1ではなく、10月初めに追加された「コーヒーもう一杯」のほうが収録されている。
秀作ぞろいの短編集で、楽しめた。
http://www.keycoffee.co.jp/blog/2008/10/drip-on-3.html

*1:キンモクセイ」と改題されて、『季節風・秋』に収録。