『オヤジの細道』(講談社文庫、2008/1)

初出は、2005年2月から2007年8月にかけての夕刊フジ。本書はその同名連載からピックアップした文庫オリジナル。巻末には酒井順子の特別インタビューを収録(聞き手:重松清、全25ページ)。ふたりは男女の違いを交えながら、オヤジというものを探っている。
連載は途中から読み始めたので、全90本中、最初の30本が未読だった。その部分は普通に楽しく読んだ。それで既読のところなのだが、読むまえはもう内容わかちゃっててつまんないかとも思ったが、そうでもない。まとめて読むと、単発で書いているのに意外と全体に流れがあること気づかされる。
何よりもよかったのは、山科けいすけさんのイラストによる表紙。紙面と違い色がついた山科さんの作品は、また違った味わいがあっていい。

伊武桃内=重松清

年明けから、何冊かノベライズを読んだ。いずれも伊武桃内の手によるものだが、これはおそらく重松清ペンネームで間違いないと思う。
以前、恩田礼(こちらは重松清が自分だと公言している)と伊武桃内の共著による『鳳凰家の掟』シリーズを読んだ。共著でありながら、どこの部分をどっちが書いたとか、そういうのはない。全編同じトーン。つまり、重松清が茶目っ気を出して、2人で書いているふりをしたのではないかと。
ノベライズを読んできたのは、その確認が目的であった。結果として重松清ボキャブラリーからはずれるような言葉もなく、先述のように伊武は彼のペンネームだという結論に達した。
以下、個人的な備忘録で著作リスト。

伊武桃内著作リスト

  1. 1995 2/28 鳳凰家の掟 扶桑社文庫 恩田礼・伊武桃内著
  2. 1995 7/30 鳳凰家の掟2 扶桑社文庫 恩田礼・伊武桃内著
  3. 1995 11/30 鳳凰家の掟3 扶桑社文庫 恩田礼・伊武桃内著
  4. 1997 1/30 鳳凰家の掟4 扶桑社文庫 恩田礼・伊武桃内著
  5. 1997 8/20 フェイス上巻 扶桑社 吉本昌弘原作 伊武桃内構成
  6. 1997 9/30 フェイス下巻 扶桑社 吉本昌弘原作 伊武桃内構成
  7. 1997 12/20 ラブ ジェネレーション 扶桑社 浅野妙子尾崎将也脚本 伊武桃内構成
  8. 1998 3/30 きらきらひかる 扶桑社 井上由美子脚本 伊武桃内構成
  9. 1999 7/10 ナオミ 3 Teachers & Students "Less ordinary" 扶桑社 高橋留美・川嶋澄乃脚本 伊武桃内構成

・ノベライズは構成と呼びかえている。
・『ラブ ジェネレーション』は2003年5月に扶桑社文庫版も刊行されている。