恩田礼、伊武桃内著『鳳凰家の掟』(扶桑社文庫、1995/2)

いくつかのサイトによれば、もともとwebに掲載されたものの文庫化だそう。帯文は「あの鳳凰家の謎がすべて明らかになる! 日本一豪華な嫁・姑鈴木保奈美&野際陽子でおなじみの話題TVCM『鳳凰家の掟』が、ロマンチック・ミステリーになった!!」
目白の椿山荘の2倍という広大な庭園を持つ鳳凰家。そこへ嫁としてやってきた春江を、姑の琴絵はいびりまくる。そんなある日、鳳凰家に問題発生。当主・義成の運転手である西山が殺され、義成はというと誘拐事件に巻き込まれる。どうする、残された者たち…。
1995年という時代に、ハッキングってどうだったんだろう。新しかったのかな。いまなお古びてなくて、楽しく読めた。あとは重松清ボキャブラリーを味わうのも面白い。「ひとりごちる」は本当によく使うなあ。まあ、ノベライズにおいて便利な言葉だとは思う。

カシオペアの丘で 上下』(講談社、2007/5)

北都観音のモデルは北海道大観音ではないのだろうか。検索してみても、指摘している人がいないのだけど。
上下巻の長い話だから、著者のいいまわしに目を向けることが多かった。彼がよく使う語、たとえば上に書いた「ひとりごちる」とかは、あちこちでいわれてるけど、表現方法についてもいくつか気づいた。
・「涙」を用いないで「泣き」を表現するとき、景色がにじむ的な描写が多い。
・「○○だったのだ、ほんとうに」という、「ほんとうに」の後付。
あとは、連載時に読んでいた方のblogに、新聞版とはまったく変わっていて残念だという記述があった。だから機会があれば、新聞のほうも読んでみたい。というか、新聞版のほうも書籍にしてくれないかな。