朝。自転車を押しながら、跨線橋の階段をあがっていく。するとそこには、中学生の女の子たち9人。親しげな様子で話しながら歩いていた。
それだけなら何も問題ないのだが、彼女たち、牛歩戦術かというぐらい歩行がスローなのである。後ろには、邪魔で追い抜けない人がたまっている。だけど、話に夢中でそんなことには気づかない。
私も一瞬、むっとした。
だけど、少し考えてみれば、歩くのがゆっくりなのは、それだけ長い時間、おしゃべりしていたいということだ。つまり、そのゆっくりさはきっと、彼女たちが曇りなき「なかよし」であることを示しているのだろう。
これから先、いつまでも9人の会話がゆっくり歩きでなされるといいな。
駅に着いた私は、乗りたい電車を1本逃していた。
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桐蔭学園理事長の鵜川昇が亡くなった。桐蔭にかんしては、本当に様々な感情が自分のうちにあるけど、内申書の成績が一切不問だったことはありがたく思っている。
中学でオール3レベルだった私は、仮に公立高校へ進むのであれば、早稲田の合格者が1年でたった5人といったところになる。しかも延べ数だから、実質は1人か2人だろうな。
桐蔭にいったからこそ、早稲田に入れた。公立だったら、青春を犠牲にせず済んだかもしれないけど、早稲田には入れなかっただろう。どちらがよかったのか。両方の人生を生きられない以上、それはわからないことだ。