本田和子(ますこ)著『変貌する子ども世界 子どもパワーの光と影』(中公新書)

「日本の児童文学」という授業の教科書になっていたので読んでみた。

構成

はじまりの章
Ⅰ章 人口異変と学校教育の対応
Ⅱ章 子どもの身体の戦後処理――医療・栄養・技術革新と変形される子ども
Ⅲ章 メディア社会と子ども――変貌する子ども―大人関係―
Ⅳ章 娯楽雑誌の市民権――漫画週刊誌を育てたもの
Ⅴ章 食品市場の救世主――子どもターゲット作戦
結びの章――戦後五〇年、子どもたちの結論

感想

話題は多岐にわたっているが、おのおののエピソードは、戦後のベビーブーマーたちの登場で、大人が子どもを一方的に締め付けるという図式がなりたたなくなったことを原因としている点で共通している。
たとえば教育に関しては、あふれるほどの子どもたちに教師は手を焼き、また受験競争が起こり始めれば、そこからはじき出されたものたちが不登校という形で自己主張する。
食品についていえば、お菓子の買い手として子ども(ベビーブーマー)を想定するようにならざるをえなかった。そして鉄腕アトムとマーブルチョコレートのタイアップなどが生まれる。
子どもの人口数から子ども世界を読み解こうとするのが、著者の試みらしいけど、見通しがよくて、成功していると思う。