ざっと感想を言うと、面白かったしいい映画になってたなあと。
好きなシーンをあげると、まずヤスがアキラに銭湯で語りかける場面。髪をすごい勢いで洗うのが、感情がのっててうまいなあと思った。
あとはたえ子のお店へ娘がやってくるところ。事情を察した周囲の静まり具合がやっぱりうまかった。ただ無口になるだけだと、あの感じは出せないんだろうな。
本作では原作の後の時間も描かれている。そこがいいというか、原作にはないんだけれどしっかり重松さんの世界観になっていて感心した。ヤスの家に用意された小道具の作り込みがすごくて、それで泣けるみたいなところもあった。
まだまだ書きたいことはあるけど、最後にひとつだけ。大島優子さんが出ているのが、本当に幸せな気持ちになれた。出演が決まったときの心境を聞かれて「重松清さんの作品が好きで『十字架』や『エイジ』なども愛読していましたので、うれしかったですね」と答えている(『LDK』5月号より)。
『泣くな赤鬼』に田島芽瑠さんが出たときにも思ったけど、重松さんの作品を好きな方が出てくれてうれしそうにしているのを見るのが、こちらとしてもうれしかったりする。おまえ何様だって話だけどね。