奥付に「2011年4月21日第8刷発行」とあるから、売れてるんだろうな。棋書のよしあしは、重版の有無を見るのが判断のショートカットかもしれない。
内容はいわゆる大局観について。章ごとにテーマを設けて、全13のサンプルゲームを解説している。
カバーには「本書のレベル……初心者〜初段」とある。だから、理解できないことはなかったが、私には読むタイミングが早かったかな。
大局観というのは、序盤の知識・手筋・詰将棋を学んだ人がステップアップするためのものだと思う。だから、素地のない私は「そういうもんなんだな」ぐらいにしかならなかった。
森を見てからのほうが到達点がわかっていいという声もありそうだが、自分としては木を見た後にしたかった感が強い。まあ、いつか再読すればいいや。
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話がいったん変わるが、日曜日にNHKで高橋道雄-鈴木大介戦を見た。解説は藤井猛。序盤で口にするのは、遠い将来に起こりそうな危険だとか、気にかかる点について。本書の内容とも相まって、将棋の性質に触れられた気がする。
プロがアマチュアの将棋を解説するなんて、類書はそうそうないわけで、やはりいい本なのは間違いない。
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最後に本自体のつくりについて書くと、まず局面図を見るのにページ移動が多くて気にかかる。
あと、10手以上一気に進む場面がある。通常の棋書だと、それらを頭のなかで進める必要があるが、本書は性格からして場面場面を見ればいいだろう。
もうひとつ。瑣末なことだが、サンプルゲームの対局者紹介で、名前に「さん」がなかったり(5章)、さらにはふたりのうち片方だけ「さん」がない(11-13章)というのは、いくらなんでも雑すぎる。