福満しげゆき著『グラグラな社会とグラグラな僕のまんが道』(フィルムアート社、2010/5)

インタビューと、これまで書いたDVDの感想文などを収録した活字本。寄せ集めの雑さはなく、まとまったものとして読める。
もっとも印象に残ったのは、セブンイレブンでのバイト経験について語った箇所。「あまりにも合理的すぎて、悲しくなっちゃったんです。マシーンと化さなきゃいけないことに」(p.64)と当時を振り返っている。そしてまた、古いタイプの職場ではやっていけたけど、「合理的なお店だとムリなんですよね」(同)とも話している。いまの時代、そんな遊びのない店ばかりだから、著者のような感覚を持つ人は、ちょっとバイトするのにも困るんだろうなあ。
以下、メモいくつか。
p.69:『生活』を描いたときと今とでは、公園の状況が違ってきた。
p.112:自分たちを「ダメ人間」と称するのは、ダメ人間の価値観を高め、勝とうとしているから。
p.146:顔の表情を左右で変えるという発明。
p.192:活字で好きだったのは中島らも