社団法人日本写真家協会編、重松清解説『日本の子ども60年』(新潮社)

子どもたちを被写体にした写真全204点が収録された本。この204点が、後述の写真展の出展作品になっている。
きょう、その展覧会にいってみた。それでわかったのだが、やっぱり本で見るのとは全然違う。本だとぱらぱら先を急ぐように見てしまう(私だけか、そんなの)が、展覧会だと1枚1枚立ち止まってじっくり見ることができる。また、本で見るよりも、写真で焦点が当てられた以外の部分に目がいきやすい(単にサイズが大きいから?)。いってよかった。
ちなみに「重松清解説」となっているが、文章はたったの2ページ半。これで解説といっていいのかと思うが、巻末にデータ(子どもたちの平均身長変化など)を収録するといったアイデアを出したりしたようなので、文章以外の部分での貢献があるのだろう。

写真展「日本の子ども60年」

東京都写真美術館恵比寿ガーデンプレイス内)B1にて、12/17から来年1/9まで開催。きょうはイベントとして、1Fホールで重松さんと、写真家の田沼武能さんの講演会がおこなわれた。
14:00ちょうどに、何の前触れもなく荷物を持ったまま後ろから入ってくる重松さん。彼の言葉を使えば、客は「戦後60年丸々生きてきた人たち」、要するにじいちゃんばあちゃんばかり。みなさん協会員の方なのかな。
重松さんはまず、写真にはまったくの素人だということを詫びる。その上で、NHKのドキュメンタリー「映像の戦後60年」をやったことや、ふたりの子どもを育てた経験などをふまえて、今回展示された写真、そしてまた、惜しくも展示されなかった写真を分析。最後は、この展覧会を見た人が、今までより少しでも子どもに愛着を感じてもらえればうれしいと、いささか強引にまとめた。
きっちり1時間で重松さんの講演が終わり、休憩に。15:30から再開し、田沼さんの講演。写真家になるきっかけをしばらく話して、スライドショーへ。1枚ごとに、撮影した場所と写真の背景を解説していくという形式。多くの国をまわっているんだなという司会の人と同じ感想しかない。17:00を少し過ぎて終了。
始まる前にB1の写真展そのものは見ていた。だが、新聞写真で見る戦後60年という映像だけは見る時間がなかったので、ふたたび下に降りる。内容は終戦に始まり、紀宮さまのご成婚まで。悲しい出来事が多かった。インパクトのある写真というと、どうしてもそちらのほうになってしまうのだろうか。

小説現代』2006年1月号

短編「かけ、のち月見」が掲載されている。斎場の前で営まれるうどん屋さんのお話。またまた死にまつわる話だが、これも素晴らしい。次号予告はなかった。だから、来月も短編が載るのかどうかはわからないが、今後の展開に期待する。
巻末の「編集部員の今月の自腹購入本」には、この短編の原稿を受け取っての感想あり。

S.E.N.S.角川映画「疾走」オリジナル・サウンドトラック』(BMG JAPAN

期待して聞いてはみたものの、いいのはメインの1曲ぐらい。残念。映画は、原作を文庫で再読した後、年内には観にいければと思っている。