片桐はいり著、片桐真解説『グアテマラの弟』(幻冬舎文庫、2011/2)

グアテマラで暮らしている、疎遠だった弟。あるきっかけを得て、ふたりの交流が始まる。
ところ変われば価値観も変わると強く思った。グアテマラにはアルバイトのシステムがないため「マクドナルドの従業員は倒産の可能性が少ない優良企業に勤めるキャリア」(p.103)なのだそうである。驚きだ。
また、太っていることを醜いとする意識がない(p.151)という部分には考えさせられた。そういう意識がある国との違いは何なのだろう。

雨宮処凛著『悪の枢軸を訪ねて』(幻冬舎文庫、2004/12)

北朝鮮イラクを訪れた著者が見た、かの国のリアルな姿。
面白かったのだが、北朝鮮編がおかしなエピソードだらけなのに対して、イラク編では子どもが病院で死にゆく様子を書くなど、真面目な話も見られる。そのトーンの違いにはいくらか戸惑いを感じた。
個別の部分について感想を書くと、まず北朝鮮には率直に興味をもった。サーカス大学が存在している(p.57)国のそれは見てみたいし、10万人という想像もつかない規模でなされるマスゲーム(p.147-152)は、これまたどんなものなんだろうと体験してみたく思った。
イラクのほうでは、ホテルにブッシュ父の踏み絵がある(p.231-233)点に、遊び心を見た。北朝鮮と違って、楽しみながら反アメリカになろう、という趣向かな。