『野球場物語2011』(週刊ベースボール別冊春風号)

2007年3月に発行された『球場物語2』の続編的なムック。前半の読み物は面白くていい。しかし後半の「日本全国野球場名鑑」がひどすぎる。各球場で一軍公式戦の開催された年が記載されているのだが、『球場物語2』からの情報のアップデートに、漏れと誤りがかなりあるのだ。気づいたところを指摘すると、以下のとおり。

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(p.86)釧路市民球場と帯広の森野球場での2009年の公式戦は中止で、正しくは開催されていない。
(p.87)オーシャンスタジアム(函館千代台)は2009年(7/4-5)にも公式戦が開催されている。
(p.93)こまちスタジアム(秋田)は2006年(8/8-9)にも公式戦が開催されている。そして2009年は雨天中止により正しくは開催されていない。
(p.120)長良川球場は2008年(4/29)、2009年(5/12、6/30)にも公式戦が開催されている。
(p.121)アルペンスタジアム(富山)は本文に書いてある2008年のほか、2007年(6/19)、2009年(6/17)にも公式戦が開催されている。
(p.126)わかさスタジアム京都では2010年(4/21)にも公式戦が開催されている。
(p.144)北九州市民球場は2007年(4/11、7/11)、2008年(4/2、5/29、6/27)、2009年(5/13)にも公式戦が開催されている。
(p.147)ビッグNスタジアムは2009年(4/21、7/28)にも公式戦が開催されている。
(p.148)藤崎台(熊本)は2008年(4/8)、2009年(4/14)、2010年(7/27)にも公式戦が開催されている(2007年は中止)。

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次に公式戦開催年以外での誤り。
(p.114)富士北麓公園野球場の文中「それだけに気象条件は厳しく」とあるが、もちろん「え」はミスタイプだろう。ほとんど『球場物語2』の文章を引き写してるだけなのに、誤植は新たに発生させてしまったという惨めな例。
(p.130)上富田(和歌山)でのウエスタンが「06年以降は開催されていない」とあるが、正しくは2006年(5/13中止、5/14)、2007年(5/12-13)、2008年(5/31-6/1、ファーム交流戦)、2009年(5/16-17)、2010年(5/15-16)と毎年開催されている。
(p.143)春野運動公園(高知)が「西武のキャンプ地として有名になり、80年から03年まで使用していた」とあるが誤り。A班のキャンプは南郷で実施されるようになったが、B班のキャンプは現在まで継続している。この誤りは『球場物語2』のまま。

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さらに「日本全国野球場名鑑」以外での誤り。
(p.54)駒沢球場の文中「翌年、東映はチーム設立以来初優勝を果たしたのだが、との命令を受け」とあるが、「都の」と変換すべきだろう。
(p.55)上井草球場の文中「貯水池を建設するため球場を配し、姿を消した」とあるが、「廃止」もしくは「廃し」でないと意味が通らない。
(p.58)札幌ドームの文中「東京ドームを本拠地に置いていた日本ハムの札幌への移転が決まり、新球場の建設が決定」とあるが、順序がおかしい。札幌ドームは2001年に完成。ファイターズの移転が発表されたのは2002年。
(p.67)神戸総合運動公園サブ球場の文中「2009年から二軍の本拠地になった」とあるが、神戸サブでは2009年にウエスタン・リーグを1試合もやってない。

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……以上のように間違いだらけなわけだが、ベースボール・マガジン社はいい加減なものを出して恥ずかしくないのか。柳本元晴は巻末でえらそうなことを書くまえに、私に1200円を返してほしい。『球場物語2』とページ数いっしょなのに、内容が無責任になって220円値上げ。むかついてしかたない。