「卒業ホームラン」*1ドラマ化

テレビ東京系にて3月下旬放送とのこと。表題作以外に「団旗はためくもとに」*2「バスに乗って」*3も含めた3作品を再構成したものだという(下記URLより)。
http://news.thetv.jp/article/20359/

山口瞳ほか著、重松清解説『山口瞳対談集1』(論創社、2009/8)

対談全13編。奥付によると、初出は1968年から94年にかけての雑誌群。
まず目につくのが、山口瞳ジョークのうまさ。歯がなくて煙草がくわえられない、それを「歯のないところに煙は立たない」(p.9)といってみたり、あるいはものを書いてお金になるなんていい商売、いまから相撲取りになれといったって無理、「だいいち髷が結えない」(p.314)とおちゃらけてみたり。
もうひとつ感じたのは、やはりタイムラグ。寿司や天ぷらが屋台から出てきた(p.293-294)というのはまったく知らなかった。それに「日本製品は粗悪であるという固定観念」(野坂昭如)とか、「高けりゃいい、外国製品だからいいという、そういう気持ちはほんとにあるね」(山口、以上p.238)ってな考えが、1972年には生きてたんだなというのも興味深い。
あとはこれも野坂との対談だが、山口は彼に対して「必ずあなたは壊れますわね」「六十歳の野坂の小説というのを読みたいわけですよ」(p.264)と早死にを予想するようなことをいっている。しかし、野坂は60を大きく超えて、山口よりも長生きしている。死期はわからないものだな。

*1:『日曜日の夕刊』『はじめての文学』所収。

*2:小さき者へ』所収。

*3:『小学五年生』所収。