石原伸司著『逢えてよかった 夜回り組長にココロを預けた少女たちの本音』(産経新聞出版、2008/8)

暴力団組長で作家の著者が、夜遊びする子どもに声をかけてまわった記録。名刺を渡すのがこの人の特徴で、後になって相談にくるというケースがとても多いらしい。
本書は「はじめに」で書かれたとおり、美談ではない。助けたくても、どうにもならない場合だってある。そういう現状を受け入れる精神があるからこそ、著者は活動できているのかもしれない。
ちなみに本家の夜回り先生については、著者と親しくなったチエミという人物がこんな発言をしている。
「大人ってみんなずるいから、安心させておいて警察にチクるんだ。有名な夜回り先生にも『何でも相談しろ』と言われたから、つい本音で相談したら警察にチクられて、鑑別所まで持っていかれそうになったよ。アイツ、汚い奴だ。殺したいよ」(p.23)
あと個人的に興味深いのが、パチンコの打ち子についての記述(p.100)。平日にまで行列ができてるのって、そういうことだったのかと納得。

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(誤植)
(p.139-140)プチエンジェル事件の容疑者の名前が、p.139吉原・p.140吉里と食い違っている。正しくは後者らしい。
(p.208)重松清のプロフィール中、デビューが1981年となっている。正しくは1991年。また著作が『その日の前に』となっている。正しくは『その日のまえに』。