伊瀬勝良著『キャッチャー・イン・ザ・トイレット!』(双葉社、2009/9)

さえない中学生男子の黒沢は、女子トイレでオナニーするのが趣味。だが、いつものようにことを終え、その場を後にしようとしたあるとき、女子生徒に遭遇してしまう。どうなってしまう、黒沢の学校性活……。
ただのエロ小説かと思いきや、読後感はとてもさわやか。よく書けてるなあと思った。一番好きな人はオカズにしたくないというありがちなこだわりとか、終盤のエロを抜きにした青春小説っぷりとか。
これはもともとがweb小説で、単行本として出すにあたり、加筆修正を施したという。それがエロさを薄める作業だったとすれば、私には残念。というのは、中盤のストーリーが同じようなことの繰り返しで、読者を引きつけるには少し弱いかなと感じたから。
重松清の帯文「そう、イチモツの固さと青春のせつなさは比例するんだよな。ひさしぶりに思いだした。」

リチャード・バック著、法村里絵訳『フェレット物語4 大女優の恋』(新潮文庫、2009/9)

第4作は、女優と牧場経営者による離れ離れのなかでのロマンス。哲学フェレットがでてきたり、理解に苦しむシーンがあったりで、過去3作よりいくらか読みにくかった。
あともうひとつ。新潮社には珍しく、誤植らしきものが。

ヴェルヴェット張りのシートから転げ落ちた、ただ一匹の乗客――美しいダルシマーフェレットは、息を呑んだものの悲鳴はあげなった。(p.105)

「あげなかった」の間違い?