東急ハンズ1号店閉店

Wikipediaによると、開店は1976年11月だそう。ということは、30年と、ちょっとか。
昨年末で閉店と知って、その去り際を見ておきたいと思っていた。しかし、気がつけば新年である。近くを通りかかる用があったので、もう営業していないとわかりながらものぞいてみた。
取り壊しはされていない。張り紙によると、春に新しいところが入るみたいだ。
店内は外からうかがえないように、覆いがされている。だが、窓ガラスのほんの隙間から、なかの光景をのぞき見ることができた。
まだそれなりに商品は置かれていて、いまが片付け作業中といった感じ。すっかり髪の毛が薄くなったおじちゃんが目に入る。顔を下に向け、ワゴンの枠をはずす作業をとぼとぼとしていた。胸には東急ハンズのロゴが入ったエプロンをつけている。もうお客さんはこないのに。
きっとこのおじちゃんにとっての、東急ハンズ藤沢店はまだ終わっていないんだろうな。
これは想像だが、おじちゃんはハンズが藤沢にあった30年の、すべてとはいわないまでも相当に長い時間を、あの場所で過ごしたのではないだろうか。あそこまで意気消沈した様子は、ちょっとやそっと働いただけじゃあ出てくるように思えない。
私はこの藤沢のハンズで、多くのものを買った。しかしそれ以上に、家族で過ごした日曜日や、友だちと修学旅行まえの買い出しに訪れたことが印象深い。きっとそんなときには、とてもわくわくしていたんだと思う。
私はあのおじちゃんに、ありがとうといいたくなった。と同時に、おじちゃんが寂しげだったのは、私たちのわくわくした表情をもう見られない寂しさでもあるんだろうな、なんてことを思ってみた。