「勤労感謝の日」「沖で待つ」の2編。働いている、いないという設定、そして文体ともに好対照だ。
帯文は「すべての働く人に――」なのだが、後者の「沖で待つ」は、私のような就職活動にいまいち身が入らない、働くことに希望が持てない人にこそ読んでほしいなと思った。
同期の間柄、上司との関係。そうした仕事を通じた関係のすばらしさが描かれている。これを読んで、とにかく社会に出てみよう、いや、働き口があるかわからないから、出てみたい、といういい方が正確かもしれないが、そういう気持ちにさせてくれた。著者には、とにかく感謝の一言だ。