森雞二著『寄せが見える本【基礎編】』(浅川書房・最強将棋レクチャーブックス、2004/5)

2012年11月10日第7刷発行。
必死*1問題集。詰将棋と違って、受けなしの状態へもっていく手を考える。
構成はレベル1から3までの3章立て。
各レベルはまず予習問題が18-19問まとめて並んでいる。次にその解説講義があって、最後に復習問題が8問。これが3章分で、1冊全部では79問になる。
1周やった感想としては、普通に良書だと思う。ただ革命的にすばらしい本かというと、そこまでではないかな。以下、ポイントを箇条書きで。
・取り組む段階は、手筋を学んだあとがよさそう。たとえば「つなぎ桂」だとか、そういう手筋の言葉が出てくるので……(まあ読めばわかるが)。
・進行順に勉強する方針なら、本書よりもまえに囲い崩しの本をやるのがいい。
・問題を解く際は、意識的に制限時間を設けるべきか。知らないものは正解へたどり着きようがなく、考える時間がもったいない。極論だが、いっさい考えずに答えを見て覚えるのもありかなと。
詰将棋と必死問題は切り離せないことがわかった。詰むかどうかが見えなければ、必死なのかもわからない。したがって問題が解けない、と。そろそろ、『詰将棋ハンドブック』シリーズをやってみようと思う。
・講義の文体がべらぼうに丁寧。「必要以外の王手は慎むようご忠告申し上げます」とか「金はトドメの駒ですから、その使用は慎重に願います」とか。笑いがこぼれる。
・もちろん、内容的にも丁寧。大駒を使うとき、打つ場所が一例なのか、それともそこ限定なのかの区別も書いてある。
・予想される受け方も幅広く取り上げている。ただ、やはり紙幅の都合がある。自分の考えた手が載っていないケースも散見。
・「どの駒でも、逃げる前に何か手がないかと考えることが、上達には欠かせません」という言葉(p.119)を、胸にとどめておきたい。

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【筆者の現在の棋力】将棋倶楽部24:14級(最高R348、現R187)、将棋ウォーズ:2級(10分・3分とも)
※自分でもよくわからないが、最近24がまったく勝てなくなった。初級者がウォーズに流れて、24のレベルが相対的にあがったという説もあるが、どうなんだろう。

*1:必至という書き方もあるが、ここでは本書の表記にならった。