上地隆蔵構成・文、羽生善治監修『羽生善治のみるみる強くなる将棋 序盤の指し方入門』(池田書店、2011/8*1)

シリーズで計3冊出ている。将棋入門・本書・終盤の勝ち方入門というラインナップ。
書店で初心者向けの本を片っ端から立ち読みしたのだが、これがずば抜けていい。2chの初心者スレで薦められてるだけある。
なぜいいか。単に戦法や囲いを紹介する本が大半のなか、考え方に徹底的に焦点をあてているから。何気なく進めていた序盤が、どうしてそうなるかという理屈がわかる。たとえば初手は角道をあけるか飛車先を突くのが相場だが、本書では指しうる各手の検討から書いてくれている。
将棋にさまざまある格言。通読して考え方を学んで、それらのいわれがよくわかった。
また本書ですばらしいのが、初心者のクセを把握していること。たとえば、初手で▲9六歩と端歩をついて、▲9七角とか。あとは▲4八銀、▲6八銀で囲いめいたもの作ったり……。もちろん、だめな理由が指摘されている。
大満足の1冊だった。続いて「終盤」も読みたいと思う。
補足になるが、「羽生善治のこども将棋」というシリーズも同じく池田書店から出ている(入門・序盤・中盤・終盤の4点あり)。似ていてまぎらわしいが、そちらは執筆者が別人であるので注意してほしい。
立ち読みの話に戻るが、初心者向けの本は羽生の名前をつけないと売れないのか、コーナー中が羽生だらけだった。しかし本書のように監修が主で、本人が書いた本はほとんどないと思われる。