西武×日本ハム(18回戦、西武第二球場)

終幕

ファーム最終戦を見るのは初めて。観客にも選手にもちょっとした緊張感があるように思えた。個人的には、星秀和が凡退した後に石川が出塁なんてとき、星はどんな心境なんだろうと想像してみたりした。
ライオンズ先発は完投指令が出ていた大石。それに応えて9回を投げ、被安打6の3失点。上々の内容だが、ヒットの打たれ方が似通ってるのが気になる(たいてい、まっすぐをはじき返されてる)。プロの壁を乗り越えられるのか、2年目を楽しみにしたい。

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きょうの目当てはもちろん、引退が報道された野田。序盤はブルペンで朱と江草のボールを受けていた。合間に石井貴コーチと笑顔で会話するのを見て、いよいよ最後なんだなあと実感する。
中盤、ベンチ脇で素振りをする野田。どうやら出番があるようだ。私は初めてベンチとブルペンの間の場所で観戦したのだが、目の前で野田をたくさん見られておなかいっぱい。
7回表2アウト。キャッチボールに出てきた大石と話す野田。ちゃんと聞こえなかったが、「完投すんの?」とか、そういう内容だろうか。
7回表が終わり、ベンチのほうへ向かった。そして、ネクストバッターズサークルに入る。先頭の美沢がセカンドゴロで倒れ、1アウトランナーなしで岳野に代わっての登場。
打席はフルカウントから4球ファウルで粘ったのかな。最後はインコースのまっすぐだったと思う。さっと見送ってフォアボールを選んだ。
最後の最後でも、持ち前の粘りが見られて満足。その後、星秀和は凡退して2アウトになったが、石川のヒットで野田は2進。さらには林崎の2点タイムリー2ベースで生還を果たした。粘りで流れをもってきたといっていいだろう。タッチでベンチに迎えられる。
大石と話してるぐらいから私は涙だったが、それが号泣に変わったのは打席途中。前で映像を撮ってる球団の女性も涙しているのが見えて……。粘るもんだから、いっぱい涙が出たなあ……。

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岳野の代打で出て、8回表の守備はどうなるだろう。ほかの捕手を見渡したが、誰もレガースをつけていない。そして野田がそのままキャッチャーに入った。ランナー出して面倒くさいことにならないのを願う。
1アウトから市川の打球がレフトへのライナー。斉藤が好反応を見せて捕球。きょうの緊張感があれをダイレクトで捕らせてくれたのかもしれない。このイニングは、無事に三者凡退で終えた。
ライオンズは8回裏に美沢のタイムリーで同点。そして野田のところでは代打高山が送られた。

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9回表の開始前、ファイターズの三木コーチが、ベンチ脇でイスに腰掛けていた野田のところへ握手しにきた。ふたりは1977年生まれの同世代。
延長に入って10回表の開始前、またやってきた三木コーチは、「フォアボール、心残り。もう1回(打って)」とバットを振る仕草をしながら、声をかける。
延長11回裏、ライオンズは1アウト1・2塁のチャンスを作るも、星秀和が空振り三振、石川が惜しいセカンドライナーに倒れて、同点でゲームセット。

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試合終了後は、3塁側ライン上に全員整列。「全日程が終了しました。ご声援ありがとうございました」のアナウンスとともに、一同礼。
もしかしたら、野田の胴上げがあるかなと思って見ていたが、野手と投手に分かれてのミーティングに移った。ただ、先に話を聞き終えた投手陣がバックスクリーン横の出口のところで野田を待ち構え、それぞれあいさつをした様子だった。

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階段下のトイレへいっていたら、外から拍手が聞こえた。野田がユニフォーム姿でやってきて、花束を受け取っている。いっぱい持ってるのに、「パパ、これもー」と押し付けられる。幸せものだなあ。
「野田」コールを受けて、「ありがとうございました」と周囲に礼をする野田。この選手を応援してきてよかったなあと涙がこぼれる。

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書きながら思い出して、また涙。幸福な一日だった。

得点経過

2回表、谷口がレフトにタイムリー。(西武0-1日本ハム
2回表、浅沼がライトにタイムリー。(西武0-2日本ハム
5回表、関口がスクイズを決める。(西武0-3日本ハム
7回裏、林崎がレフト線へ2点タイムリー2ベース。(西武2-3日本ハム
8回裏、美沢がショートへタイムリー内野安打。(西武3-3日本ハム

NPB公式より

試合時間:3:42
観衆:322