坂井保之著『波瀾興亡の球譜 失われたライオンズ史を求めて』(ベースボール・マガジン社、1995/11)

各球団代表を歴任した著者が、1972年から78年、すなわちライオンズの冠名が西鉄太平洋クラブ、クラウンライター、西武と変わっていく過程を当事者として綴った1冊。
とにもかくにも、知らなかったことや興味深いエピソードが満載。横浜スタジアムの建設に西武グループが関係してる(p.216)とか、現楽天社長補佐のマーティ・キーナートには30年以上もまえから日本球界とのつながりがある(p.123他)など。
一番はやっぱり冒頭のシーン。伊原春樹竹之内雅史が所沢移転に嫌悪感を示すなか、「わしは野球がやりたい。(中略)だから、わしは行くで」と口にする土井正博。彼がいなかったら、西武ライオンズはまったく違ったものになっていたのかもしれない。
あとがきでは、続編を考えているらしきことが書かれている。現在のところそれは刊行されていないようだが、ぜひとも執筆してほしいものだ。