最終日

帰り道

合宿も無事終わり、歩いて太海の駅へ。自動券売機がないから、駅員さんがやってくれる。「浜金谷までです」というと、「今度の電車は館山で乗り換えになります。ええと、2番線、3番線だから、同じホームですね」と、聞いてもいないことを丁寧に教えてくれた。親切だなあ。
館山で乗り換えて、再び電車に揺られる。途中の駅で、大学生年齢の人たちがいっぱい降りていく。ここは何という駅なのだろうか。そう思って、外を見ると浜金谷だった。うわっ、もう降りるのか。あと、30分ぐらいだと思ってたのに、早いなあ。
駅を出て、そのままフェリーのりばにいってもよかったんだけど、せっかくなので観光。ロープウェー(http://www.keisei.co.jp/group/nokogiri-mt/)の看板があったので、そっちにいってみる。

鋸山(のこぎりやま)

7、8分歩いて、山麓駅に着いた。運賃は片道500円、往復900円。ふーん、片道料金があるってことは、ロープウェーじゃなくても上り下りできるのか。そう思い、そばにあった地図を見ると、「40分。悪路あり」と書かれていた。とりあえず片道だけ切符購入。帰りどうするかは後で決めることに。
切符は昔ながらの硬券で、改札口でそれにがちっと切り込みを入れてくれる。
ロープウェーは、基本的に15分間隔で、満員になって乗り切れない客が出ると、間隔を狭めるようだ。
乗車時間はたったの4分。ガイドさんが解説してくれたけど、別に乗ってる間に見るべきものはなさそうかなあ。
山頂駅着。駅舎の外に出ると、実に素晴らしい眺めだ。金谷の港一帯、ゆきかう東京湾フェリー、そして海の向こうにある久里浜まで見渡すことができる。たとえるなら、ここは日本のマチュピチュである。まあ、マチュピチュにいったことなんてないけどさ。

景色だけでも、500円払った価値があるなと思う。
この鋸山の大部分は、日本寺となっている。600円の拝観料で、中の広大な敷地に入ると、大仏様や観音様がおられるのだそう。当然、中に入ることを選択。
いきなり、「大仏まで往復90分」との看板を見てびびる。というのは、合宿で使った、とてつもなく重い荷物を持ち歩いていたからだ。だから、まるで修行僧のような気分で、一歩一歩と大仏を目指す。

日本寺大仏

汗はだらだら。体はばてばて。野外スポーツの本編よりも明らかに辛い。途中何度か「うわあぁぁー」と発狂しそうになりながら、大仏様の前まできた。

これはいい。鎌倉のとは比較にならない素晴らしさだ。一言でいうと、エンターテインメント。立派とか厳かというよりも、見ていて楽しくなる。そんな大仏だ。これなら子どもが見ても面白いんじゃないかなと思う。ほんとに見てよかった。

資料コーナー

しばらく休憩して、またロープウェーの山頂駅に戻る。さっきは気がつかなかったけど、建物の2Fにゲームコーナー、食堂、そして鋸山石切り歴史資料コーナーというのがある。
資料コーナーにあった説明によれば、鋸山の石は、かってよく工事に使われたが、セメントに取って代わられたそうだ。
しかし、現在もなお使われているところがあって、そのひとつとして早稲田大学の写真が展示されていた。場所は、正門から南門通りを歩いて、サンクスの先にある小道のあたり。大学というよりも、ワセコウだろうか。残念ながら、今の様相とは違っていたので、もう使われていないのかもしれない。

ゲームコーナー

ちょっと時代を感じさせるものばかり。
KOMAYAのBASEBALL・2というのは、ピンボール台形式の、野球盤みたいなもの。30円で1PLAY。ピッチングボタンを押すと球が出てきて、それをバッティングボタンで打つ。ヒット、ホームラン、アウトなどの穴があって、14点取ったら、再PLAYできるそうだ。しかし、ひとりのランナーも出せずに3アウト。無念。
HOT CHASEというレーシングゲームの画面には、「C1988KONAMI」とあった。ピストルで撃たれたりする。いまいちルールがよくわからないまま、63620PTSで6位ぐらいのところに名前を入れてきた。はたして、すごいのかどうか。
あと、子ども向けとしか思えないゲームの景品にアダルトビデオが入っていた。「18歳未満の方はご遠慮ください」。こんなの誰がやるんだろう。恥ずかしくて持って帰れないよなあ。

金をけちった罰

帰りは、ロープウェーに乗らないことにした。まあ、さっきの「40分。悪路あり」というのは、登りの話だろうから、下りなら大丈夫だろうと思って。
しかし、この判断は完全なる誤り。まず、道が「悪路」なんてレベルじゃない。一歩踏み間違えたら転落という箇所多数で、ほんとに危険。
途中からは階段があるけど、降りれども降りれども、終わりがみえず、またまた発狂しそうになる。結局、山麓駅まで33分。素直に往復900円払ってロープウェーに乗るべきだった。

ふたたびの東京湾フェリー

金谷フェリーサービスセンター売店でびわソフトクリーム(300円)を食す。色こそびわだけど、全然その味がしない。まあ、それでもおいしいことはおいしいかった。
フェリーは全部で3船あるそうで、いきに乗ったやつとは違い、ビールが売られている。周囲はゴルフ帰りの客が圧倒的で、置き場に置かれたバッグの数がすごい。
金谷を発ってしばらくすると、カモメが船を追ってきた。その飛行ぶりたるや、まるで誰かがリモコンで操作してるんじゃないかと思うほど。そのうち、乗客がカモメに向かって、お菓子を放り投げた。すると、カモメが見事にキャッチ。周りの乗客から、「おお」という声と拍手。
それから他の客が集まってきて、同じようにお菓子を投げる。そして最初は1羽だったカモメが5羽に。そんな様子を見ていると、あっという間に久里浜へ。神奈川へ帰るんだなという感慨に浸る時間すらなかった。