匿名であるような、そうでないような

久しくゲーセンというところにいっていなかった。もちろん、ちょっと覗いてみるぐらいのことはあった。けれども、本格的にプレイしたのは中2のときが最後だと思う。
そのゲーセンに最近よく入る。別に遊びたいわけではない。アーケードではいま、どういうゲームに人気があるのか知りたいという好奇心からである。
まあ、それはどうでもいい。店のなかで、初心者にもできそうなやつを見つけてやってみた。「QUIZ MAGIC ACADEMY3」(略してQMA)だ。
クイズゲームなのだが、ただクイズに答えるだけではなく、オンラインで全国のプレイヤーとトーナメントみたいなことができるようになっている。
おのおのが自分のキャラを持っていて、プレイ中はそのキャラの名前と、いまプレイしているゲーセン名が表示される。まあ本名をつけるやつはいないだろうし、基本的には匿名ということになる。
しかし、こんなことがあった。あるとき、トーナメントになると、私がいまプレイしているのと同じゲーセン名の人がいた。
むむむ。このゲーセンにQMAは4台しかない。1番左の台を使っていたのが私。右隣が空きで、その右に恋人同士と思われる男女、で、一番右は空き。
ああ、あのキャラ使ってるのは、あそこにいるふたりなんだな、とわかる。でもって、あのふたりは私のことを、真面目な顔に似合わずかわいいキャラ名をつけているよ、とくすくすと笑っているかも、なんて思ってみたりする。しばらくそういう不思議な気分でのプレイが続いた。
ま、顔がわかってても匿名は匿名だけど、何なんだろう、この不思議な気分は。照れなのだろうか。だとしたら、匿名の場合には普段と違った自分を演技しているという意識でもあるのかな。自分のことなのによくわからない。