荒木飛呂彦著『死刑執行中脱獄進行中』(SCオールマン愛蔵版)

1994年から95年あたり、私がまだジャンプを読んでいたころ、荒木飛呂彦といったら、というか『ジョジョの奇妙な冒険』といったら、とにかくわけがわからなくて、絵がごちゃごちゃしてて、読もうとしても読めない漫画だった。
そのわりには、懸賞で当たったジョジョのテレカを持っていたりする。ハガキにはスラダンのやつがほしいと書いたのだが、そちらは応募が多かったためか、まったくほしくもないジョジョのやつが送られてきたのである。
要するに、私にとって荒木飛呂彦とはくそな漫画家だったわけだ。だから、ブックオフでこの本を見つけたときは、たぶんくそなんだろうなと思いつつ購入した。してしまった。
それでこの短編集を読んでみたのだが、なかなかいい。設定はどれもくだらないようでいて、人間の奥底について考えさせる。
上で書いたジャンプを読んでいた当時、ジョジョを好きな友人がいた。彼に「どこがいいの? わけがわからないじゃん」と聞くと、「わけがわからないところがいいんだよ」といい返されたことがある。
わけのわからないよさ。10年のときを経て、それがわかる年齢になったということなのかもしれない。

芳崎せいむ著『金魚屋古書店3』(IKKI COMIX)

相変わらずいい漫画だ。話が変わるけど、IKKI COMIXは帯が破れやすくて好かない。