横山秀夫著『震度0』(朝日新聞社)

帯文にはこうある。「警察小説はここまで進化した!」。
警察小説というジャンルを熱心に読んでるわけじゃないけど、すごいのはよくわかった。
いくつかの事件の複雑な関係。将来的な警察内部における地位のための、情報の取引。とりわけ、人間の心の移ろいに重点が置かれていた。
ただ、すごいのはすごいんだけど、面白さという点では、以前読んだ2冊(『クライマーズ・ハイ』『ルパンの消息』)のほうに分があるかな。
以下余談。横山秀夫はまだ3冊目だけど、ふたつほど特徴を発見した。まずは、登場人物の名前の付け方。なんか歯切れがいいっていうか、そんな感じの名前が多い。あと、p.98の「義務だとぅ?」という表現。『ルパンの消息』で目立って使われていた記憶があるけど、横山さん独特のもののように思う。
奥付によると、初出は『小説トリッパー』2002年夏号から冬号、2003年夏号から冬号とのこと。だいぶ、刊行までに時間がかかっているけど、忙しくて着手できなかったのか。それとも加筆が細部にわたっていためか。