『文藝春秋』8月号

例の佐世保の事件について、赤坂真理斎藤環重松清、瀧井宏臣、宮崎哲弥(司会)が討論。重松清は、地元テレビの取材で現地に赴いた時のことを交えながらの発言。舞台となった中学校は山の中腹にあり、そこより上に住む人と、下の街の部分に住む人との間には、貧富の差を感じたとか、遊び場の欠如とか。そして強調していたのが、地方における受験事情について。子どもを私立に行かせたいと思っても、情報は思ったほど少ない。被害者と加害者の受験に対する意識がどのようなものだったのか、私は詳しくわからないのだが、重松清はそういった事情が、今回の事件に深く結びついていると考え、あえて分類するなら、酒鬼薔薇聖斗事件や、長崎であった駐車場の屋上から、子どもを突き落とした事件よりもむしろ、音羽の山田みつ子の方に近いのではないかとしている。
私は重松清の小説の読者なので、彼の発言ばかり追ってしまったが、司会の宮崎哲弥がうまく話を割り振っていて、それぞれの意見が満遍なく引き出された素晴らしい討論になっていると思う。とりわけインターネット以外のところに原因を求める意見が多かったので、興味深く読めた。