原武史著『沿線風景』(講談社、2010/3)

本書のもとになっているのは『週刊現代』の「リレー読書日記」。雑誌掲載時に何回か読んでいたのだが、筆者と同行するうちの「戸井さん」を作家の戸井十月だとなぜか勘違いしていた(実際は講談社の社員)。そんなもんで、原さんとは絵がつながんないなあ、なんて思っていた。
それはさておき、この『沿線風景』では本の導く小旅行が展開されている。私としては訪れた場所よりも、食べたもののほうに目がいった。というのは「鉄道ひとつばなし」だと、ほとんど駅そば・駅弁だが、本書では駅から離れた食事もしているから。そんなところが斬新だなあと……。
その土地土地で感じたことは原さん個人のものなので、ああそうなんだぐらいにしか思わないが、西武はうどんをPRしたらどうかという指摘(p.34)と、今後の家族のありようを思った部分(p.265)には、いたく共感した。