原章二著『マラソン100回の知恵 サブフォーをめざす市民ランナーへ』(平凡社新書、2010/1)

帯の惹句に「プロの指導は役に立たない」とあるとおり、非エリートの一般ランナーに特化したアドバイス本。私はマラソンなどしないのだが、彼の2000年の著書『ただ走る哲学者』が面白かったので、これも購入した。
本書もやはり哲学者だけあって、実用的助言のなかに、深い言葉がいくつも見られる。とりわけ印象的だったのがこれ。
いきなりフルマラソンを走るのではなく、10キロ、ハーフと段階を踏んで挑戦したほうがいい。その理由は「比較ができずに単独で存在するものは、存在しているかどうかも分からない」(p.73)
フルを完走しただけでは、その何たるかを知るに至らないというわけだ。もちろん、マラソン以外のことにも通じるだろう。
ほかにも、苦しみを紛らわす考えごとのネタなど楽しく読んだ。私もチャレンジしたくなった。
あとがきでは、うれしいことに次回作の構想が書かれている。また10年後とかになっちゃうのかな。