田家秀樹著『豊かなる日々 吉田拓郎 奇跡の復活』(角川文庫、2009/7)

『小説吉田拓郎』がよかったので、これも読んでみた。相変わらず拓郎の曲はひとつも知らない。
本書では、2003年4月に肺がんを告げられてから、コンサートに戻るまでの日々が綴られる。これも前掲書と同様に面白く読んだ。それは田家さんが大きな物語を書いているからだと思う。ただ起こったことを書き連ねるだけにとどまっていない。対象への思い入れがあればこそ、そういうスタイルがとれるんだろうなあ。

太宰治著、重松清解説『晩年』(角川文庫、2009/5改版)

『晩年』というタイトルながら、これが最初の短編集なのか。最後に収録されている「めくら草子」がそうだからかもしれないが、書く自分、もっといえば、無理して書いている自分についての話が多い印象がある。いまでいうなら中原昌也みたいだなと思った。