見城徹著『編集者という病い』(太田出版

幻冬舎設立の日。

まだ机も椅子も何もない、荷物も届いていない、雑居ビルの一室に六人がいるだけで。高校時代、僕、ラグビーをちょっとやっていたんですよ。それで角川を辞めた時”励ます会”を開いてくれた重松清たちがラグビーボールをプレゼントしてくれた。そのラグビーボールを真ん中に置いて、六人が車座になってね。いつしかそれをこうやって(ラグビーのパスの仕草をして)となりの奴にスルーしたんだ。六人とも黙ってパスを回し続けたんですよ。(p.241)

切ないねえ。
書きたいことはいっぱいあるけど、少しだけ。
まず、ほぼすべてが雑誌などに掲載されたものだということ。そのため、1/3ぐらいは既読だった。しかし、それでもこうして1冊にまとまり、見城さんの名句の数々に触れられることはうれしい。
残念なのは、いい加減な校正*1。たぶん、太田出版という会社がそういうところなのだろう。

*1:初出一覧の「第三章」とある次の行、なぜか冒頭一字下げに。p.245は、おそらく「辞表」とすべきところが、「辞長」となっている。