藤沢周著『オレンジ・アンド・タール』(朝日新聞社)
裏表紙側の帯に「重松清氏、石川忠司氏が絶賛する」あったので、読むことにした。
内容をまったく知らずに読み始めたのだが、舞台が七里ヶ浜、江ノ島あたりということもあって、引き込まれる(笛田公園という地元民以外は知らないであろうマニアックな地名も出てくる)。
中編2編からなっていて、ひとつ目の「オレンジ・アンド・タール」は朝日新聞の夕刊連載が初出。ふたつめの「シルバー・ビーンズ」は、『小説トリッパー』に3回にわたり掲載されたもの。この2編は、同じ出来事を、別の登場人物の視点から捉えている。
七里ヶ浜近くの高校の屋上である日、キョウという生徒がT・I・Mの「命」をまねる。そして、次の瞬間、なんと飛び降りてしまう。そんなことがあった高校における、残された生徒の鬱積を書いた小説。
1編目の主人公カズキは、スケボーをやっている。憧れは、江ノ島の弁天橋下で生活している伝説のボーダー、トモロウ。若いなりにあれこれ無茶するのだが、その描きかたが好意的なのがいい。
2編目は逆にトモロウを中心にすえる。そして、1編目で明かされなかった事実が示される。
この小説を読んでの満足感をうまく言葉にできないけど、COOLな1冊だった。
余談だけど、重松清による藤沢周についての言及には以下のようなものがある。
同人誌ではたしかファーストネームを片仮名表記にしていた彼は、のちに本名の「藤沢周」で小説を発表するようになり、一九九八年夏、『ブエノスアイレス午前零時』で芥川賞を受賞する。(『セカンド・ラインpp.303-4』)
空より高く(読売新聞夕刊)
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