『流星ワゴン』(講談社文庫)

単行本で1回読んだので、今回は再読。この作品、感動とか涙という言葉とともに語られることが多い。私も初読のときは、いい話だなと感じた覚えがあるが、そのポイントが今回はわからなかった。でも、新たに気づいた点がいくつかある。
これまでに重松さんの講演を何回か聞いてきたけど、「三位一体じゃなくて、三位三体であるべきだ」という話をよくする。また、コラム等にも書いている。

子どもに向き合い、問題を解決していくには、親、教師、地域が三つどもえにならなきゃいけないってよくいうけど、それって違うと思う。みんながみんな同じ対応をするんだったら、3つある意味がない。受け答えのしかたが違うからことによって、子どもが緊張せずにいられる場所が生まれる。まわりが星一徹みたいな人ばっかりだったら嫌になっちゃうでしょ。

一字一句正確ではないけど、こういう趣旨のこと。もちろん親の間でだって、対応が異なっていい。
で、思うに、この本における、一雄とチュウさんの広樹への接し方の違いって、上のような考えに基づいて書かれてるんじゃないかな。突発的な動きをしようとするチュウさんを一雄が止めようとするなど、ふたりの意見、行動が一致する場面は、ほとんど見られない。あと、健太くんに対する橋本さんと、永田親子(一雄とチュウさん)の対応にも同じことがいえるだろう。
「やり直しのできない一度きりの人生。悔いのないように生きよう」という単純明快なメッセージを投げかけるとともに、実は子育て論にもなっているのではないか。そんなことを考えながら、再読した。
もうひとつ思ったのは、ラスト2ページが、ひょっとすると、サニーデイ・サービスの「魔法」の影響を受けてるのか、ということ。でも、共通してるのは「魔法」という言葉と、呼びかけの文体のみだけどね。

坂口博信さんの件

ファミ通』2004年12/10号(坂口博信×植松伸夫巻頭独占インタビュー、聞き手浜村通信)の段階では、「マイクロソフトさんと任天堂さん、それぞれで話をしています」ということだったけど、Xbox陣営に加わることが決定したようだ。
それでミストウォーカーのウェブサイトを見ると、2つ作っているうちのひとつは「重松さんに書いていただく100本の短編と合体することで、いままでにない味わいをゲームに持ち込もうとしています」と坂口さんが述べている。前記のインタビューでは、「いま、3つ、進めてます」ということだったんだけど。トーンダウンかな。まあいいや。ちなみに、そこでは重松清について3人がこんなふうにコメントしている。

坂口「家族のことや恋人のことを、凝縮された一瞬で描くことで、深い感動を与えるような…」
植松「泣けるよね」
浜村「泣けますね。ドラマとして、すごく楽しめそうな気がします」

自分の話をさせてもらうと、やっぱりドラクエ派だ。FFは5、6、7、8とプレイしたけど、定められたストーリーをなぞらされてるだけで、ゲームとして好きではなかった。坂口さんには、いま一度、映像やストーリーではなく、ゲームを作るんだという認識をしっかり持って、今後の創作活動に望んでほしい。金欠にならない限り、重松さんのかかわる作品は買いたいと思っている。

婦人公論』3/7号「女のニュース男のニュース」

NHKの番組への政治家介入問題について。

『ヒナゴン』

yahooに登録されているので、既にご存知の方も多いと思うけど、映画の公式ページができている。曲が流れるので、音に注意。
http://www.hinagon.net/