熊谷達也サイン会(8月19日18:00-丸善日本橋店)

早めに行って前から10番目ぐらいまでに並ぼうと思い、17:25ごろに店に着いたが、すでに20〜30人ぐらいが列を作っていた。出足が早い。場所柄もあるのだろうが、40代から50代の男性サラリーマンが大多数で、女性は皆無。(ちらほらじゃなくて皆無。ぱっと見では一人もいなかった)あとは誰のサイン会にいってもいる、転売目的と思われる古書店店主っぽい人が1割ほど。私のような学生と20代から30代のサラリーマンあわせて1割ほどという感じだろうか。
サイン会は1F特設会場で行われる。こういう催しによくお出かけになる人ならわかるだろうが、特設会場と言う場合に、それはたいてい通路のことを意味する。この日も例に漏れず、店舗の南東側の入り口付近に会場が設けられた。店の中に並ぶ場所はないので、待つ人の列は店の外に伸びる。ウインドー越しに熊谷氏の背中が見える場所に机と椅子、そして「邂逅の森 直木賞受賞記念サイン会」という看板が設置されていた。
正確なことはわからないが、ほぼ時間通りにサイン会は始まった。仕事帰りの人たち(なぜかこちらは女性が多い)がちらほらと足を止めてその様子を見ている。しばらくすると列が進み、私にも熊谷氏の背中が見えるポジションに来た。白を基調として、赤と青のラインが薄く入ったチェックのシャツを着ている。そして印象的だったのが、パイプ椅子に座りながら、かかとを上げっぱなしだったことだ。背後から見ることが出来ると、いろいろなことがわかってよい。
左側から(後ろから見て。正面に行くと逆になる。あたりまえだけど)、丸善の女性店員(長身でポニーテール←くだらないことばっかり覚えてるな、私)、男性店員、熊谷氏、女性(文藝春秋の編集者かなにかだろうか)、男性店員の順に位置している。熊谷氏とその隣の女性のみ座っていて、あとの人は立っていた。
後ろから見ていると差し出している本は、(丸善のブックカバーをしている人はわからないが、それ以外の人の)多くが『邂逅の森』(文藝春秋)で、直木賞帯と元帯が半々ぐらいだった。元帯の人が多いのはちょっと意外。山本周五郎賞帯は見たところいなかった。サラリーマンの人はたいてい1冊だけだが、転売屋は止める店員の手を振り切って、2冊も3冊も、『漂泊の牙』(集英社)や『マイ・ホームタウン』(小学館)にもサインをもらっている。こういうやつらは、いったいなぜ1冊のみといわれるのかわかっているのだろうか。
日本の古本屋(http://www.kosho.or.jp/index.html
に出品しているけやき書店とかね。金儲けは他人の迷惑にならないようにやれよ。熊谷氏はそういう不届きものに対して、(内心では嫌がっているだろうが)顔を変えずに一心不乱の様子でサインをしている。
さて私の番が近づいてきたので、ポニーテールの店員に本と整理券を渡す。たぶん「お名前をお入れしてよろしいですか」というようなことを聞いたので、首を縦に振る。(私は耳が悪いので、よく聞こえない)ここまで見てきたところによると、名前を入れる人(かなり少ない)は、名前と熊谷氏のサイン。名前を入れない人は本のタイトル(ex.邂逅の森)とサインを書いてもらっていた。そうして待っている時にも前のほうで、「お名前だけでもお願いします」と複数冊のサインをねだるやつがいる。うざいので、今後こういう場には来ないで欲しい。
私の本がポニーテールから男性店員の手へと渡り、私の番がまわってきた。「よろしくお願いします」と私が言うと、熊谷氏は礼をしてくれた。作品同様に誠実な人だなあと思う。整理券を見ながら、私の難しい名前を書く熊谷氏を隣の女性が(漢字を間違えないかと)心配そうに見つめる。(ように私には思えた)金ペンを使用しているからかもしれないが、筆圧はそれほど強くなく、「ぎっぎっぎ」というよりも「さっさっさ」というタッチだ。そして熊谷氏がサインをし終えてまた礼をしてくれる。私は「ありがとうございました」と言って、横に移動した。隣の女性(じっくりと見なかったが、いや見たいけど見るのを忘れていたというのが正直なところだが、美人である)に、熊の足跡をかたどったようなスタンプを押してもらい、「ありがとうございました」と言っていただく。最後に隣の店員に和紙を入れていただき、そしてこの方にも礼を言ってもらい、私はとてもいい気分で店の外に出た。もう時間は18:35ごろで半分を過ぎていたが、まだまだ多くの人が列を作っていた。熊谷氏もその周りの方々も、本当にお疲れ様。